FBIと護り屋
□勧誘編1
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ウィルが赤井に自分の護り屋としての仕事を見せてから既に1ヶ月が過ぎるが・・・
『マジでしつこい』
学食で珈琲を飲みながらウィルは向かいに座るケンにそう愚痴を零した。
「気に入られたって事か?」
『それは前から知ってる。問題はアイツ・・俺に捜査協力を求めて来る事だよ』
イライラしながらウィルは頭を乱暴にかき回す。
「捜査協力?ルイは一般人だろ?」
『一応な』
ウィルの言葉にケンは首を傾げるがウィルの情報収集及び、分析と捜査能力を知っているケンからすればアレを見せれば誰もが欲しがるだろう事は予想が出来、目の前で苛立っているウィルに苦笑した。
『それより、ケンは良いのか?そろそろテスト近いだろ?』
「ヤベッ!ノート借りれるか?」
ウィルは話題転換とばかりに話を変えるがその話題にケンは素で焦りを見せた。
『お前なぁ・・』
ウィルは毎度毎度テスト前に焦るケンに肩を竦めながら呆れるがしっかりノートは貸している。
『俺は今日もバイトだからノートは好きな時に返してくれ』
「あぁ。悪いな」
『気にすんな。んじゃ、俺はこれから講義あるからな』
そう言ってウィルは席を立ちケンの肩を叩くと学食を出て行った。
「このまんま勧誘になる気が俺は凄くするんだけどな?」
ケンはウィルの後姿を見ながら執着するFBIの人物を思い浮かべ苦笑した。
そして勧誘されたウィルが出す条件も予想が出来、仮にその予想が当たれば
「俺はそれだけ思われてると思うべきか、対象者だからと思うべきか」
苦笑しながら借りたノートに視線を移したのだった。
『で?毎度毎度その後ろから来るのやめろよ』
ウィルは講義を終えてからアジトに向かう道すがら歩いていると既に耳が聞き慣れてしまった足音に溜息を吐くと顔を顰めながら振り向いた。
「驚いたな。足音はなるべく立てないようにしていたんだが」
『・・・何かの実験?』
毎度毎度赤井はウィルに声を掛ける時に足音を消したり、気配を消したりとしながらウィルにどこまで近づけるかと言う実験のようなゲームを行っている。
赤井の言葉にウィルは呆れた溜息を吐き赤井が追い付くのを待った。
「君が俺を待つとは思わなかったな」
結局、アジトまで一緒に歩くことにしたウィルに赤井は驚きの声を出しながら尋ねた。
『目的地が一緒ならそれでもいいかと思ってな』
暗に諦めたと言っているようなものではあるが・・・。
「おや、今日もお客さんかい?」
マスターは赤井の姿に片眉を上げて反応しウィルは特に気にするでもなくカウンターに座った。
「俺が来るのはやはりマズいか?」
赤井もウィルの隣に座りながらマスターに尋ねるがマスターは笑みを浮かべながら首を横に振った。