FBIと護り屋
□勧誘編2
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ケンは仕事もなくウィルと別れて喫茶店に入り借りたノートを写す作業に没頭した。
「何か用ですか?」
視界に入った人物にケンはノートから顔を上げその人物を見上げれば
「あ・・」
ケンは見上げた人物の顔を見て目を見開いた。
「ルイなら居ないですよ?」
ケンの横に立っていたのは赤井だったためケンはウィルが居ないことを伝えると赤井は頷いて
「座っても良いだろうか?」
「あ、はい。どうぞ」
机に広げていたノートを片し
「珈琲で大丈夫ですか?」
「あぁ」
赤井が返事したのを確認してケンは店員に赤井の分と自分のお代わりを注文した。
「俺に・・話ですか?」
「そうだな。君にもだが・・ルイの過去を知っていれば教えて欲しいと思ってな」
「・・・ルイの許可は?」
「いや、取っていないが・・」
‘ブブッ’
ウィルの過去を教えて欲しいと言いながら許可は取っていないと言う赤井の言葉にケンは警戒するがバイブ音からメールだと判断し赤井に視線を送れば頷かれたため携帯を操作しメールを開けばウィルからであり内容は
『ケンにアイツが接触するはずだ。聞かれたことはケンが答えられる範囲で答えていいぜ』
そう言う物だった。
「・・ルイから許可降りたので話しますね。って、言っても何を話せばいいのか・・大方、勧誘するのにルイが条件出したんじゃないんですか?」
「!メールに書いてあったのか?」
「いえ、ルイからこのタイミングでメールが来たのもそうですけど・・そのうち勧誘されるんじゃないかとは思ってましたから。その時に出すであろうルイの条件も・・俺が勧誘を受ける事じゃないですか?」
「あぁ。それと大学を卒業してからが条件で出されたな」
「あっはっは。やっぱり出したか」
ケンは自分の予想がドンピシャで当たった事に笑いが止まらなかった。
「その条件の意味を教えて貰っても良いか?」
「良いですよ。まぁ、少し長くなりますが・・俺の過去、少し話しますね。それがルイが出した俺が勧誘を受ける条件の意味になりますから」
ケンはウィルに会った時にこの条件を出した意味がどっちの意味なのか聞いてみようと内心で思いながら運ばれてきた珈琲を一口飲むと
「俺とルイが初めて会ったのは俺とルイが高校1年の時、6年前ですよ」
目を細めて昔を懐かしむようにケンは話しだした。
6年前、ケンの家はそれなりに裕福な家であるがその分、狙われることも多かった。
母親を早くに亡くしたケンは父親の背中を追いかけて育った。
父親はスクールに通うケンが狙われる可能性を考えて護り屋を頼んだ。
その時、依頼でやって来た護り屋がマスターとウィルだった。