FBIと護り屋
□勧誘編3
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ケンが赤井に自分の過去とウィルが提示した条件の事を話してから3日が経った。
大学の講義を終えた教室内は賑わっており珍しくウィルとケンの2人ともこの後の仕事が入っていないという大変貴重な時間であった。
『この後どうする?』
「そう言えばルイは逆に仕事が無い時間は持て余して嫌うんだよな」
『今更、暇を貰ってもな・・』
椅子に寄り掛かり体を反らしながら天井を見つめるウィルにケンは苦笑し
「なら、偶には語らないか?」
ケンの提案にウィルは顔だけ向け右眼を細めるが
『良いぜ』
ニヤリと笑い上体を起こした。
「そう言えば・・」
『ん?』
「聞こうと思ってたんだよな」
『何を?』
廊下を歩きながらケンは思い出したように呟きウィルは視線だけケンの方に向けた。
「ルイが提示した条件。俺が受ける事って言うあれ。俺は護るべき相手だからか?それとも友人だからか?」
『両方だな。割合で言うなら友人が9、対象者は1割でしか俺は考えてねぇけど』
「そうなのか?」
意外な割合にケンは目を見開き立ち止まった。
『当然だろ?まさか50:50だなんて思ってねぇだろうな』
数歩歩いてからウィルも立ち止まり後ろを振り返った。
「そう思ってた。寧ろ、対象者だと思ってたからな・・友人だと思われてたら嬉しいな位には思ってたが・・」
『お前なぁ・・』
ケンの答えにウィルは呆れた溜息を吐き
『俺は友人だと思ってるが?まぁ、昔は確かに対象者だったがな』
「いつから変わったんだ?」
ウィルはわざと大股で歩き出しケンはウィルの後を追う様にやや早歩きになりながら問いかけた。
『ケンが護り屋になった頃からだな』
「それって・・」
ウィルが本名を明かした時でもある。
『今の俺には・・正直、マスターかケンしか信頼できない。それくらいまで信頼し且つ、俺は友人だと思ってるんだぜ?』
ケンの方を振り返るウィルの瞳には嘘偽りがなく
「光栄だな」
ケンも笑みを零し改めてウィルの隣に並んで歩きだした。
『マスターも同じことは懸念してたな』
「まぁ、仕方ないだろ?ルイの過去を考えれば・・」
『そういやアイツに何話したんだ?』
ウィルも許可は出したが内容までは聞いていなかった。
「安心しろ。ルイの過去は話してない」
『はっ?じゃぁ、何話したんだ?』
「条件の事、俺の過去は話したな」
『あぁ。俺がケンが受けたらって言ったアレか。あと大学卒業』
「それ話すには俺の過去を話すのが一番良いだろ?」
『良かったのか?』
「あぁ。俺は後悔してない」
大学を出るとウィルの車に乗り込み