FBIと護り屋
□勧誘編4
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『ここか・・』
表通りとは言い難い場所の手前でレイネスは車を止めウィルとケンも車を降りた。
「確か連続殺人って・・全員刃物で頸動脈切られてるんだったか?」
『しかも、毎回刃物は異なる。だが、殺し方は同じだから同一犯による連続殺人にされているはずだ』
「よく知ってるな・・」
犯行はこれで3件目だがそれまでの間隔が広く最初の事件など既に新聞には載らず人々の記憶からは薄れていそうなものであるがウィルはそれを覚えていた。
レイネスはそれに驚き目を見開いた。
「2人はこの現場を見てどう思った?」
単刀直入に赤井が尋ねウィルとケンは顔を見合わせるとケンは遺体があった付近を見始めウィルは辺りに視線を向けた。
「ルイ・・」
『ん?』
「頸動脈切るのって後ろから出来るよな?」
『寧ろ、前からだと返り血浴びるな』
「犯人役良いか?」
『OK』
ケンは遺体の傍で立ち止まりウィルは気配をあまり殺さず持っていたペンを頸動脈に当てようとした。
「やっぱ気配で分かるな」
そう言って振り返ったケンに
『振り返られると難しいな』
「片手で口とか塞げば出来るか?」
『いや、それだと被害者は抵抗する筈だ。だとすれば何かしらが残る筈だからな』
「確かに、それに被害者の体にもその痕が残るか」
『そうなると難しいな』
「逆に振り返った状態だと前からの方がやり易いか?」
今度はケンが首と上半身を後ろにそらした状態でウィルが前からペンを頸動脈に当てた。
赤井とレイネスはウィルとケンの動向を見守っていたが
「2人ともそのままストップ」
レイネスの声が掛かりウィルとケンは動きを止めた。
「秀一」
「あぁ」
『単独犯じゃねぇな』
レイネスと赤井は何か分かったのか互いに頷き合いウィルは呟くようにそう言った。
「ルイも分かったのか?」
『考えられんのそれしかねぇだろ?』
赤井は目を見開きウィルに尋ねるがウィルはペンをしまうと肩を竦めながら赤井に視線を向けた。
『資料は見せて貰ってねぇが・・被害者の傷はこの角度だったんじゃねぇか?』
「後ろから声を掛けられるかすれば被害者は振り返り足を止める。その隙を突けば正面から一振りで出来ますね」
ケンも分かったのか説明した。
「となると・・複数犯だと車か何かなんだよな」
レイネスは頭を掻きながら呟き
「助かった。これで捜査の方針が変わる」
どうやらお手上げ状態だったらしくウィルとケンの働きが捜査に刺激を与えたことが分かった。
「お役に立てたなら」
『俺たちの役目は御免か?』
それぞれ肩を竦めるウィルとケンにレイネスは苦笑しながら頷き
「話はまた今度でも良いか?」
赤井はいつになく真剣な表情で現場を見ていた為ウィルとケンは頷くが
『俺もケンも承諾しますよ』
「勧誘を受ける事」
それだけ伝え退散退散と茶化しながらウィルとケンは背中を向けたが赤井は目を見開き背中を見つめると喉を鳴らし
「楽しみだな」
本当に面白そうに口角を上げたのだった。
『さてと・・こっからは俺らの領域だな』
「あの場所・・確か」
『あぁ・・』
ウィルは運転席に座りケンが助手席に座るとウィルはニヤリと笑いケンはさっきまで居た場所を思い浮かべ目を細めた。