FBIと護り屋
□就職編
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肌が凍てつき口から吐き出された呼気は白く空へと昇って行きマフラーを鼻まで引き上げながら見上げる空は曇天で舞い落ちる白い花の様な雪が降るこの季節。
『さみぃ』
呟く様に紡がれた言葉は白い息となって空気に拡散されウィルは見上げていた空から視線を外し大学内へと足を進めた。
赤井からFBIへの勧誘があってから、それを承諾してから季節は巡り気が付けば冬。
既に卒業までのカウントダウンは始まっているのかもしれない・・・
「ルイ!」
そしてそんな中でウィルが大学に呼ばれたのは教室内に集まるいつものメンバーがいるからかもしれない。
『いきなり呼び出されたかと思えば・・・』
「良いじゃねぇか!」
「そうそう。もうあと数か月しか居られないんだからさ」
『ところで、お前ら卒論出したのか?』
「「「うっ!」」」
心臓の部分を押さえる面々にウィルは呆れた溜息を吐き
『手伝わねぇからな』
一応釘を刺しておけば
「ルイっていつやったんだ?ってか、その感じだともう出したよな?(俺より忙しいのに)」
ケンは常々これが疑問だった。
取ってる授業数は変わらないが、ウィルが取っている講義は結構レポート提出が多く受講者は結構苦労しているのを見ている。
それでも期日前に必ず提出しているウィルは護り屋としても働いていながらどうやってその時間を捻出しているのか・・・
『2,3日寝ないでやれば出来るだろ?』
何を大袈裟なと言わんばかりの視線だが・・・
「「「いやいやいや・・待て待て待て」」」
『・・・お前らが待て』
何故か全員ウィルの発言に総突っ込みをするがそれをウィルが突っ込み返す。
「いや・・おかしいだろう・・2,3日寝なければって・・それ徹夜って事だろ?」
『俺からすれば別に徹夜だろうと数時間眠れるだろうと関係ない』
ウィルの言葉にケンはそれ以上口を挟めずにいた。
と、言うのも現在ウィルはバーの2階ではなく仕事場として使っているマンションで生活している為寝るに寝られない状況だからである。
「でもさ、こうやって俺らが卒論出し終わったら会う機会も減るよな?」
「確かに。卒論と、就活に追われるから下手したら卒業式まで会わねぇ?」
『確かにそうだな。俺もケンもこれからバイトの時間が増えるだろうからな』
「そうそう。良い様に使われそうだよな」
これからの時期は祝い事が増えるせいか護り屋として護衛が多くなるのは毎年の事でウィルもケンも半ば諦めている。
「そういや・・ルイとケンは就活してるのか?何かバイトばっかやってるように見えるけど」