恋を知った
□FBIに入る
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アメリカFBI本部その一室では
「君の名前を教えてもらっていいかな」
私を拘束した人が目の前に座り私は手足を拘束されることもなく自由にされていた。
だが、仕込んでいた武器は全て取られ歯に埋め込んでいた毒薬をも抜かれていた。
目の前に座る人の後ろには窓があり夕日が差し込んでいた。
あれから短くても一日が過ぎている
「喋れないわけじゃないだろう?」
『話さなければいけませんか?』
冷たく平坦で機械のような声で話す少女。
銀よりも白銀に近い髪を肩より下まで伸ばし、左眼は前髪で隠れていた。
「そうだね。君は、これからどうしたい?生きるか死ぬか」
『・・・ボスの命令では捕まった者は死ぬ。私は失敗しました。死ぬべきかと』
「なるほど。でも、君に命じたその人はここの牢屋にいる」
『・・・自分で考えろと言いたいんですか』
「いいや。生きて欲しい。そう思っているだけだよ」
『・・・生きる』
「そう。さて、君は確かあの時他の子からゼロと呼ばれていたね」
『あの銃声が鳴り響く中でよく聞こえましたね』
「あれは君の名前かい?」
『そう呼ばれていました。ずっと』
「本当の名前じゃないわけか」
『一つ聞いてもいいですか?』
「どうぞ」
『どうして私を拘束しないんですか?私たちのことを知っていてあそこに乗り込んできたのなら、私たちがどういう人間かは知っているはず』
「・・・じゃぁ、どうして君は攻撃しない?」
『・・・わからないです』
「それでいいんだよ」
『?』
「これからわかっていくよ。さて、名前が無いとやりづらいね・・・空瑠という名はどうだろうか」
『空瑠?』
「あぁ」
『日本人のような名前ね』
「苗字・・・あ、セカンドネームの方がわかりやすいかは白夜でどうかな」
『空瑠白夜』
「日本だと逆だけどね」
『・・・ありがとうございます』
「ん。俺はナイトサン・コーランド」
『コーランドでもいいですか?』
「任せるよ、それでは空瑠ようこそFBIへ・・・と言いたい所だけどこれを解いてもらえるかな」
コーランドはそう言って束になった用紙を空瑠の前に置いた。
『FBI捜査官認定試験・・・』
表紙に書いてある文字を復唱した空瑠はその意味を悟った。
「一応試験が120分なんだ」
苦笑しながらペンを渡したコーランドに無表情に紙を見つめていた空瑠はペンを受け取ると紙を捲くりスラスラとペンを走らせていく
『随分と凝った暗号ですね』
最後のページにたどり着くまで要した時間は10分最後のページに空瑠は何通りもの答えを書きペンを置いた。
「驚いたな」
頬を引きつらせて冷や汗を流すコーランドは紙束を流し読みし最後のページで止まった。
「本来最後の問題はこの答えのうちどれかが答えられれば正解なんだが・・・」
空瑠の書いた答えは全部で54通りそれは普通ならば気がつかないような答えまで
「文句なしだな。おめでとう空瑠。これから空瑠も俺等と同じFBI捜査官だ」
『・・・はい』
それからコーランドに連れられFBIのオフィスに到着した。
「レイネス!」
「コーランドさんじゃないですかどうしました?」
こちらに来た男性を空瑠は無表情で見つめた。
「空瑠。彼はレイネ・クレイア同じFBI捜査官だ」
「初めましてお嬢ちゃん」
レイネスは笑顔で空瑠の頭を撫でたが無反応
「あれ?嫌われたか?」
「警戒心が強いんだろう。俺にも最初はこんなだったからな」
「そうなんですか?ってかこの子の名前空瑠って言うんですか」
「俺がつけたんだよ。あそこでは名前は存在しなかったらしいからな」
「へー」
「んじゃ、俺は長官の所に行ってくるから空瑠のことを頼むな」
「え?」
レイネスの肩を叩いてコーランドは出て行ってしまった。