恋を知った
□10日後
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赤井side
事件から10日が経ちその間に関与していたマフィアのほとんどを逮捕したが未だ真相までたどり着けていない状態。
「改造拳銃も薬も出処まで後一歩ってところなんだがな〜」
「手詰まりですかね」
『・・・・』
「白夜捜査官?」
会話に入るでもなく、かと言って資料を見るでもなく窓から見える真っ暗な空を見つめている白夜に声をかけるも返答は帰ってこない。
「気にするな。秀一」
この10日で俺はレイネス捜査官をレイネスと呼ぶようになりレイネスも俺のことを名前で呼ぶようになった。
『何か・・・引っかかりません?』
呟くようにこぼした白夜の問いに俺とレイネスは顔を見合わせた。
『上手く行き過ぎている・・・そんな気がするんです』
「俺たちが優秀だからじゃないのか?」
茶化すように言うレイネスを睨む白夜に俺は疑問を投げ掛ける
「上手く行き過ぎているというのは捜査のことか?」
『えぇ。10日でこれだけマフィアが捕まっている。なのになぜ彼らはこの都市から離れないの?』
わからないと呟く彼女の顔には疲労の色が見え隠れしていた。
「疲れているんじゃないか?」
『それ、赤井捜査官に言われたくないです』
確かにそうだ。
俺の顔にはいつの間にかクマが定着している。
「マフィアが都市を離れない理由のようなものはあるのか?」
俺の問いに苦笑しながら答える白夜
『理由というほどじゃないにしても有るにはありますよ。例えば今逆に動くことで相手にこちらの動きを教えると考え動かない場合。逆に狙っている目標(ターゲット)がここを動かない場合。後はわざと自分の組織を囮としてこちらの動きを誘導しようと・・・』
そこまで言った時に彼女の目は見開かれダッと音がしそうなほど踵を返すと走り始めた。
「白夜!?」
「おい!空瑠!どうしたんだよ!」
そのまま白夜は今までの資料を自分のデスクに広げその下にはアメリカの地図を広げ赤ペンで丸をしていきざっと資料を見渡したあとに小さく呟いた。
『やられた・・・』
と