3万hit記念リクエスト小説
□ストーカー編第一弾
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組織壊滅後、FBIはアメリカに拠点を移し赤井も休暇の時のみ日本に戻ってくるだけになっていしまった。
勿論、それを危惧した赤井は先手という感というか・・コナン基、新一と妹である世良に空瑠のことは任せていた。
しかし・・
その二人の探偵の包囲網を掻い潜る勇者がここにいた。
‘バサバサバサッ’
下駄箱から落ちる大量の手紙。
『はぁ・・』
毎日これだけの量を入れる人物に目下呆れるしかないと空瑠はその手紙を持ってきた紙袋に全て入れた。
同じ家に住む新一に話しても良いのかもしれないが・・
せっかく幼馴染と言う枠を脱して恋人同士になった二人の時間を割く様な無粋な真似はしたくないと空瑠は想う気持ちが有り今日も今日とで通学鞄と大量の手紙が入った紙袋片手に工藤邸に帰ったのだった。
『相変わらず凄いな・・』
その紙に書かれている内容は全てワープロで打った様な文字であり
『とりあえず燃えるゴミ』
全てを読む気にはならないため封筒に入ったまま空瑠は明日回収に来る燃えるゴミの袋に全てを詰め込んだ。
『犯人がわかってるだけに質が悪いな』
既に犯人が分かっている空瑠だが、どうも言葉のやりとりができない残念な相手らしい。
『じゃぁ、新一先に家出るから戸締り宜しく。蘭に起こされるの待つとかしないでよ?』
一応部屋の前で新一に声をかけるが返答はなく空瑠は肩を竦めて玄関に向かった。
そして学校へ向かう途中
『(やっぱり居た・・)』
電柱に寄りかかるようにしている帝丹高校の男子学生。
傍から見れば登校途中の彼女待ちと見えなくはないが
「空瑠!今日も早いんだな」
馴れ馴れしく呼んでくるこの男こそ空瑠にストーカーをしている張本人である。
『先輩、何度も言いますが待ち伏せはやめてください』
名も覚えていない先輩であり空瑠はこの行為にほとほと参っていた。
「今日も美人だな。そうだ、俺今日4限までなんだが空瑠もそうだろ?何処かに出掛けないか?」
『すみませんが依頼が入っていますので』
「どこに行こうか?映画とかどうだ?」
最早空瑠の言葉など聞いておらず道端でもおかまいなく肩を抱こうとしてくる。
『先輩、何度も言いますが迷惑です』
それだけ言って早足に空瑠はその場を去るが
「逃がさないよ?俺の天使」
投げキッスを空瑠の背中に送るその男に空瑠は早足ではなく駆け足になっていた。
『疲れた・・』
教室に着いた空瑠は机に突っ伏し溜息を吐いた。
「空瑠、どうしたんだ?なんだか疲れてるよ?」
『あぁ、真純おはよ。今日は依頼ないのか?』
「うん。僕は今日は何もないよ!それより何があったのさ。最近秀兄が空瑠から連絡がラインばかりだって嘆いていたよ?」
『あぁ、ちょっと調査で立て込んでてゆっくり電話してる暇がなくて』
「・・嘘だね」
『えっ・・』
「秀兄が言ってたんだ。もし、電話する余裕がないって僕に言ったらそれは嘘だって。それだったら空瑠は先にそのことを伝えるはずだって」
世良の瞳に空瑠は瞳を伏せるようにして逸らした。
『大丈夫。もう、決着を付けるから』
「空瑠・・」
空瑠の言葉にどこか寂しい表情をする世良だが、空瑠はそれを気遣うことが出来ないくらいまで参っていた。