3万hit記念リクエスト小説
□ストーカー編第二弾
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毎日毎日工藤邸の郵便受けに届く大量の手紙や写真。
純粋なファンレターもあるが不純な物がその数を上回り
『毎度毎度何でこんな気狂いに好かれるんだろう・・・』
手紙や写真だけならば空瑠もここまで悩むことはない。
問題なのは毎日のように送られてくる手紙や写真の他にある小さな小瓶。
その中身は白い液体であり想像は付いている。
『流石にこれを女子高生に見せるのは気が引ける・・』
想像できる中身の液体を見ながら空瑠は呟き今回のストーカー事件を蘭たちに話していない要因でもある。
そしてその数は日を追うごとに増えていっており
『本当に気狂い』
空瑠は蔑むような目でその小瓶を見た。
また、コナンに話そうにもいつどこで蘭の耳に入るかも知れないという状況を作るわけにもいかないのと、正直に言えば男性恐怖症気味になりつつあるため探偵事務所に行けないと言うのが本音である。
そして工藤邸に一緒に住んでいる沖矢基、赤井は本部に呼ばれて仕事のためにアメリカに渡りここ1週間ほど連絡が取れていない状況である。
『参ったな・・』
大量の手紙や写真をゴミ袋に入れながら意思とは関係なく震えてくる体に空瑠は溜息を零した。
『外に出るのはリスクが高いが・・このまま家にいると気が狂いそう』
見張られているような感覚に陥り息が詰まる様な気がして空瑠は外に出ることを決めた。
本当ならば大通りを通るのが良いのだが、今は男性が恐怖の対象でありどこで出会うかわからないと思うと人のいない道を通ってしまう。
『あ・・ポアロ』
安室が居ない事を願いながら空瑠はその扉を開けた。
「いらっしゃいませ。空瑠さん」
出迎えてくれたのは梓であり店内に人はおらず
『もしかして休みでした?』
空瑠が首を傾げればこの時間は客がいないのだと梓が説明しその間に安室に買い出しも頼んだとのことで空瑠はホッと息を吐くとカウンターに座った。
「何だか凄くお疲れですね。空瑠さん」
カウンターに座った空瑠は項垂れるように溜息を吐きその姿を見た梓は心配そうに空瑠の顔を覗き込んだ。
眠れない日々が続き隈は濃くなり食欲は失せて頬も痩けてしまった。
『ちょっと寝不足で・・気にしないでください』
空瑠は顔を上げないまま手だけヒラヒラと振って返事をする空瑠に梓はキッチンに一度引っ込むと
「どうぞ」
空瑠の前に置かれたカップからは
『カモミール?』
ハーブの香りが漂い空瑠は銘柄を口に出した。
「知ってました?空瑠さんなら知ってるんじゃないかって思ったんですけど」
『確か、緊張緩和や不眠、リラックス効果があるんでしたっけ?』
空瑠はカップを口元に運び香りを嗅いでから口に含んだ。
「今の空瑠さんにはピッタリかなって思って」
ちょっと恥ずかしそうに言う梓に空瑠はクスリと笑みを浮かべてから美味しいと感想を述べた。
「私じゃ何にもできないと思うんですけど・・話ぐらいだったら聞けますから」
恥ずかしそうに、それでも真剣に空瑠に言葉を話す梓に空瑠はお礼を述べてからたわいない会話をしていれば
「買い出し終わりましたー」
‘カラン’
と入口のベルが鳴り買い物袋を持った安室が戻ってきた。