3万hit記念リクエスト小説
□だらけた先輩の裏側に惚れる
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アメリカFBI本部ではFBI試験を主席合格した優秀と言われし男が入ってきた。
「今日からここで働くことになった赤井君だ」
ジェームズの紹介で赤井は自分で名乗ると
「さて、君の指導は・・空瑠くんに任せよう・・・?」
「ボス、空瑠さんなら屋上ですよ」
朝礼の最中集まっていない人物にジェームズが首を傾げれば同僚がそう補足した。
ジェームズはまたかと苦笑し赤井はそんな奴が指導役か?と眉を寄せた。
「空瑠くん!」
漸く屋上から戻ってきた空瑠は漆黒の髪を背中まで伸ばし男性と早々変わらない長身でやる気のない態度とは裏腹に鋭い目つきをした女性である。
『お呼びですか?ボス』
ジェームズに呼ばれ空瑠はジェームズの元に向かった。
「こちら赤井秀一君、今日からここで働く。君に指導係をしてもらいたいんだが?」
『・・・は?』
ジェームズの言葉に空瑠は素の反応を返し赤井は赤井でこんな奴が?と不愉快極まりない表情をしていた。
『ジェームズなんで私なの?』
「私は君の能力を高く評価しているからだよ?」
“能力”という言葉に空瑠は器用に片側だけ眉を動かすと盛大に溜息を吐いて項垂れた。
『私の予想は3日』
「「?」」
『3日で彼の方から指導役を変更して欲しいって言うと思うよ?』
それでもいいなら引き受けると視線でジェームズに語りジェームズもそれに頷いたため改めて空瑠は赤井に向き直った。
『既に不愉快と言わんばかりだね。別に変更してもらいたいなら自分でジェームズに言ってね。一応、指導役の白夜空瑠』
それだけ伝え空瑠は自分のデスクに向かうが・・
『怠い・・』
デスクに積まれた書類を見るなり空瑠は呟いた。
「空瑠もそれで面倒くさがりじゃなきゃいいのに」
隣のデスクで書類整理をしていた同僚は苦笑しながら言うが
『元の性格。ついでに私は現場の方が向いてんの』
そう言いながら空瑠は書類をとりあえず見てから数枚手に取り
『資料室からこの資料取って来て書類としてあげてくれ』
そう言って赤井に自分の仕事を明け渡したのだった。
「は?おい、これはあんたの仕事だろ」
『指導役なら、そういうのも指導する必要があるっしょ?それとも、そんなんやらずにさっさと現場に行きたいって?』
挑発するような空瑠の態度にキレそうになるのを抑えて赤井は資料室に向かうのだった。
数時間後
「仕上げたが?」
最早敬語など使う気もないのか空瑠の目の前に書類を突き出す赤井に
『ご苦労さん』
まともなチェックをせずに空瑠はデスクの中に書類を放り込んだ。
「次は何だ?」
『ん?帰宅』
「は・・?」
空瑠の言葉に意味がわからないと眉を寄せる赤井に空瑠は後ろの壁にかかっている時計を指さし
『新人は定時上がり〜ついでにその指導役もさ』
そう言ってパソコンの電源を落としフロアの出口に向かう空瑠に赤井は何度キレそうになったかわからなかった。
そして空瑠の内心では
『(一瞬見ただけだけど、よく書けてたな〜。別に私の指導いらないだろう)』
だらけた態度はある意味本心だが、決してだらけっきているダメ人間ではない。
そのことに赤井が気づくかどうかは別として・・