3万hit記念リクエスト小説
□強がりな女
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アメリカFBI本部では
「はぁ・・」
報告書を書きながらジョディは溜息を吐いていた。
『はい。そんな急ぎの報告書じゃないだろ?少し休憩してからやれば?』
「空瑠・・」
そっとジョディのデスクに置かれたミルクティーの入ったカップ。
そしてそれを置いたのは数年別件で単独任務を終えて帰還したばかりの同僚の空瑠だった。
そこで何があったのかは知らないが帰ってきた時には長かった髪はバッサリと切られかなりボーイッシュなショートカット、服装もパンツスタイル、口調もやや男のようになっていた。
帰ってきた時は全員がそれに驚いたが慣れれば元からそうだったと思うくらい違和感がない。
逆に後輩たちからは低くない身長と男前な態度から好感度はグッと上がったらしい。
『それと、ジョディのデスクの下の方にあるファイルは貰ってくよ。私は今抱える案件ないからな』
言うが早いか幾つかのファイルは持って行かれた。
「あ・・」
元から空瑠は推理力や観察眼は赤井と変わらないと言われ今ではその容姿から赤井二号などと影では噂されている。
持って行かれたファイルと空瑠の後ろ姿にジョディは手を伸ばすが当然届く訳もなく
「はぁ・・」
再びジョディは溜息を吐いたのだった。
「抱える案件がないって・・帰ってきたばっかりじゃない」
ボスであるジェームズの計いで空瑠は他の者のサポートという形を取っていたのだが知っていてわざと他から案件を貰うことは多々ある。
「はぁ・・」
「随分溜息の量が多いな。ジョディ」
一服から帰ってきたらしい赤井がジョディの隣のデスクに座ると首を傾げながら問いかける。
「私、そんなに吐いてた?」
「俺が戻って来てから既に3回だな」
「・・・無意識って怖いわね」
改めて思うジョディは空瑠の淹れたミルクティーに口をつけた。
「美味しい」
後から甘味が体に染みるそのミルクティーは空瑠しか淹れる事が出来ず滅多に飲めない味だが心が癒される味ではある。
「空瑠が淹れたのか?」
横で見ていた赤井は何かを探しているらしく手元は忙しなく動いていた。
「えぇ。私が疲れているからって。ついでに私の仕事も持って行かれたわ」
「・・・帰ってきたばかりじゃなかったか?」
流石に赤井も動きを止めて目を見開いた。
「私もそう思ったんだけど・・ところでさっきから何をそんなに探してるの?シュウは」
「あぁ、部下から上がってきた書類をチェックしようと思ったんだが、見当たらなくてな」
「その書類でしたらさっき空瑠さんごっそり持って行きましたよ?」
ふと向かいの席から顔を上げたキャメルがそう話してきた。
「は?」
流石の赤井もその言葉には目が点になり
「私も止めたんですが赤井さんはここ(FBI)の切り札だから休める時に休ませろって言ってたんですよ。他の部下にも書類は空瑠さんに提出するように言ってましたからね」
赤井と同じく空瑠にも尊敬し憧れを抱くキャメルは感心するが
「感心してる場合じゃないわよ!空瑠はまだ調整期間でしょ!?」
『そんなこと言ってる余裕はないだろ?』