3万hit記念リクエスト小説
□大人げない攻防
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組織壊滅から既に5年が経過し今では覚えている人間などこの事件に関与したものだけであろう。
そう、工藤新一、宮野志保が薬で小さくなり江戸川コナン、灰原哀となりFBIや公安、CIAさらに組織壊滅に貢献したwingsなど多くの者が関与したあの大きな事件。
それぞれの心にいろいろな形で残っているであろうあの事件である。
勿論、それがいい意味で出会いをもたらしたというのもまた事実。
wingsのリーダーとFBI捜査官が出会ったのはある意味それがきっかけなのだから。
『龍一が生まれる前にこういう事件があったんだよ。そこで私とパパは出会ったからね』
龍一は空瑠と赤井の出会いやそれによって関わったメンバーの話を度々せがんでいる。
そして空瑠の横に座り嬉しそうにその話を聞いていた龍一こそ空瑠と赤井の間に生まれた一人息子である。
空瑠と同じアメジストの瞳を輝かせ赤井そっくりな癖のある前髪が特徴的な5歳になる息子。
「パパってそんなに凄いんだ」
どこか納得いかないという表情をする龍一は絶賛反抗期というか、空瑠独占欲が強く赤井のことをどこか毛嫌いではないが、対抗しようとしている節が有る。
空瑠はいつも板挟みのような状況にあるため最早苦笑しか出てこない。
『龍一はパパが嫌い?』
頭を撫でながら聞く空瑠に龍一は頬を膨らませ
「嫌いじゃないけどパパはママを独り占めするもん」
どうやらそれが嫌らしい・・・。
『そっか』
決して嫌ってはいないことに空瑠は安堵の息を吐き撫でていた頭を軽く叩いた。
「ママ!そろそろ着くかな?」
パァっと表情を明るくする龍一に空瑠は携帯に来たメールを読み返せば
『(真純たちと新一たち到着時刻が一緒だ。だとすると一緒に来るかな?)』
今日は日本から新一と志保、真純。秀吉が遊びに来るため龍一は楽しみにしている。
‘ピンポーン’
「あっ!」
インターホンが鳴ると嬉しそうに玄関に向かう龍一の後を空瑠もゆっくり追う事に。
「はーい!」
龍一が玄関を開ければ
「よっ!」
「こんにちは」
「久しぶりだね!龍一」
「龍一くん久しぶり」
「新一兄ちゃん!志保ちゃん!真純姉ちゃん!秀吉おじちゃん!」
嬉しそうに呼ぶ龍一にやってきた4人は笑みを見せた。
『新一たちと真純たちが到着時刻が一緒だからもしかしたら一緒に来るかもと思ったけど当たりだったね』
空瑠は苦笑しながら出迎えた。
「空港でたまたま会ったのさ!行き先が一緒だから皆で来たよ!」
八重歯を見せて笑う真純に空瑠も笑みを見せ招き入れた。
「前来た時も思ったけどやっぱおっきいね」
真純は玄関を入りながら見渡す。
『そんなに大きい?』
「ははっ・・空瑠も俺んち見てると感覚鈍るよな」
空笑いする新一に志保も同感だと言うように頷いた。
日本の工藤邸やロスの家を見てきた空瑠と新一からすれば変わらない大きさだが、普通の一般人からすればかなり大きい家である。