3万hit記念リクエスト小説
□恋と気がつかず
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FBIに所属している白夜空瑠という人物はFBIアカデミーを主席で合格し、体術や銃に関しても同期の中では頭二つは抜けているほど秀でている。
現場に行けば持ち前の洞察力や観察眼を頼りに事件を解決していくのだが、ことFBI本部に居る時はそれがぱったりとなくなる。
現に今も・・
『またやっちゃった』
自分が使う資料とは別の資料を持ってきてしまいそれを片手に溜息を吐けば隣の席のジョディは苦笑した。
「空瑠また資料間違えたの?」
『そうなんです』
項垂れる空瑠にジョディは
「現場で発揮される観察眼はどこに行っちゃうのよ」
肩を竦めながら言われ
『つい、本部に居ると気が緩んでしまうんです』
恥ずかしそうに言う空瑠にジョディは怒るに怒れず
「全く・・」
困った笑みを浮かべた。
「またお前は資料を間違えたのか」
呆れたような声が空瑠の後ろから手元を覗き込むようにして言われ振り返れば
『赤井さん』
資料を片手に呆れた表情を浮かべている赤井がいた。
「お前が持っている資料は俺が使うものだ。空瑠が使うのはこっちだろう?」
そう言いながら空瑠の手から資料を抜き取り代わりに赤井が持っていた資料を空瑠に持たせた。
「現場では文句のつけようがない部下なんだがな」
苦笑しながら赤井に頭を撫でられ空瑠は顔を赤らめると俯いた。
自分を落ち着かせようと珈琲の入った自分のカップに手を伸ばすが
「ちょっと空瑠!それ・・」
『けほっけほっ』
「私の紅茶よ」
紅茶が飲めない空瑠は盛大に噎せ持っていたカップをデスクに置くと今度こそ自分のカップを掴み珈琲を飲んだ。
「本当にこう言うところは抜けてるわよね。空瑠は」
苦笑するジョディと様子を見ていた赤井は呆れたように肩を竦めた。
『申し訳ないです』
優秀と言われている空瑠だが、こう言ったところが抜けており苦笑しながらもどこか微笑ましいと思っている本部の先輩たち。
気持ちを切り替え空瑠は資料片手に報告書の作成に取り掛かりその様子を見ていたジョディと赤井もそれぞれ自分の仕事に戻ることに。
『とりあえずおしまい』
空瑠は30分ほどキーボードを叩きながら資料と睨めっこをしていたがそれも終わりエンターキーを叩いた。
「えっ!?もう終わったの?」
『はい。こう言った分野は得意ですから』
流石のジョディも驚きの声を上げるが元々優秀と言われているのは伊達ではないため空瑠は資料を元に今後の犯人の動きを予測し捜査の展望を報告書としてあげていた。
『提出してきます』
直属の上司である赤井の元へ向かい報告書と自分の意見を述べれば
「あぁ、すまない。いつも空瑠の意見には助かっているよ」
普段は人を射殺さんばかりに鋭い瞳も空瑠を褒めるときはその鋭さは優しさに変わり頭を撫でられる空瑠も頬を赤らめながらも嬉しそうにされている。