翡翠とアメジスト2
□閑話
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FBI本部に来るのも二度目であり前ほど視線を彷徨わせることはしないがそれでも前に来た時よりも気配が多く
『(人数増えたのか?)』
感じられる気配だけでも前に来た時の倍にはなっていた。
「どうした?」
空瑠が考えていることが分かるわけでではないはずなのに抜群のタイミングで赤井が訪ねてくる。
『いえ、前より人が増えてるなと思って・・増員ですね』
「あぁ、奴らを捕らえる為にな」
その真剣な声に空瑠も気を引き締めるように頷いた。
「ボス、来ましたが」
ノックし赤井が尋ねれば入ってくるように言われ赤井は空瑠を促しながら部屋に入った。
所謂長官室というべきなのか大きなデスクで作業するジェームズの前には簡単な応接セットが用意されていた。
「空瑠くんも済まないね。わざわざ」
『お気になさらず』
ジェームズの申し訳なさそうな顔に空瑠は首を振った。
「さて、掛けてくれ。飲み物を出そう」
「ボス、そのくらいは私がやりますので先に空瑠と話しててください」
ジェームズを制して赤井が給湯室に向かう背中を見ながら空瑠は違和感というかギャップに少々笑ってしまった。
「では空瑠くん座ってくれ」
ジェームズが腰掛けたソファの前を指され空瑠もそこに座った。
「どこから聞けばいいだろうか・・とりあえず私が把握しているのは7年前の生き残りだということとご両親の名前くらいなんだが」
赤井が話した通りである。
『そうですねでは、私たち家族が作り上げた組織のことからお話します』
自分が転生したことは伏せてwingsの存在とその中枢を担っていること、一応表の顔は高校生と探偵をしていること、銃の扱いは問題ないことを話した。
「そうか・・空瑠くんがそれだけ大人びているのが分かるような気がしたよ」
『でも、あれは両親が作り上げたからこそここまで機能していると思ってますから』
「そういうことにしておこう」
空瑠が謙遜していることはわかっているためジェームズもそこまで深くまでは入り込んでこない。
「2度、奴らと対峙したそうだね」
『wingsとして動きましたから』
「怪我は?」
『何発か撃たれましたがそれももう塞がっていますので』
「そういうことではないんだが・・」
勿論、ジェームズの言いたいこともわかるが空瑠はあえてそれを避けるように話を進めていく。
「あれから傷も大丈夫なのかい?」
そう、あの爆弾事件の時のこともジェームズは気がかりである。
『ご心配おかけしました。その傷も塞がっていますし問題ありません。秀一さんにはかなり心配をかけましたが』
あの時の様子を思い出して空瑠は苦笑しながら肩を竦めた。
「そうか・・1年くらい前からかな?赤井くんの雰囲気が変わったのは・・こちらに来てからさらに変わっていて君たちがそういう仲なのには驚いたが、私としては嬉しい限りだよ。」
本当に嬉しそうに笑うジェームズに空瑠も笑みを返した。
部屋に入ってきた赤井はジェームズと空瑠の前にコーヒーを置くと更にケーキの皿を置いた。
『・・・?』
「私からだ。貰ってくれるとありがたい」