翡翠とアメジスト2
□満月の夜の二元ミステリー
2ページ/4ページ
パーティー当日の昼間。
『これでいいですよ』
ハロインパーティー用にミイラ男のメイクを瑠希に施してから空瑠は自身もウルフカットの黒髪金眼の男に変装し他の二人も同様の顔にするべく特殊メイクを施す。
後の二人も黒髪に蒼眼と黒髪に黒眼の男性にさせ顔は空瑠とそっくりにしている。
これでベルモットにあったとしても問題はない。
「それにしても空瑠くんにこういうスキルもあったとはね」
自身の顔を鏡で見ながら呟く羅瑠の声に空瑠は苦笑した。
『引き取ってくれた方がそう言った技術がある方でメイクや演技といった物は仕込まれました』
メイク道具を片付けながら頬を掻いた。
「さてとそれじゃ俺はこの招待状の通り、時間になったら勝手に行きますか」
招待状をひらひらと揺らしながらミイラ男の瑠希は言い空瑠たちはそれに頷いた。
『私たちも夕方には行きましょう』
空瑠の言葉に頷き全員が銃の確認をしたりしていた。
羅瑠基、黒髪蒼眼の運転のもと埠頭に向かった。
見えない位置に車を止めると空瑠は軽い身のこなしでコンテナの上を飛び越えていく。
「ちょっ!」
流石にその身のこなしの良さに慌てるメンバーに空瑠は一度動きを止めると気配を探った。
「どうかしたかね?」
追いついたメンバーに空瑠は人差し指を口元に当てた。
『いくつか気配がします。おそらくFBIの仲間が潜んでいるんでしょう』
積まれたコンテナの上の方にいるため下の状況は把握しやすく空瑠たちがバレる可能性も低い。
ふとやって来た一台の車そこから降りてきたのは
『ジョディさん?』
{今夜は撤収、明日出直してきて!}
「撤収ですか?」
『やれやれさすが変装の名人ですね』
言葉の意味に眉を寄せる黒髪黒眼の悠と肩を竦める空瑠。
しかし・・何の疑いもなく撤収していくFBIに唖然とした。
「・・・いくら信頼しているからって疑うことを知らなすぎませんか?せめて確認の連絡を入れるとか」
「私ももう一度部下の教育を見直したほうがいいだろうか・・」
呆れ半分信じられないという気持ち半分で空瑠たちはコンテナの上からその様子を見ていた。
『おそらく、ベルモットはここにFBIが張り込んでいたことを何らかの方法で知っていたんでしょう。それを逆手に取るようにして・・!なるほど・・彼らの仲間をここに張り込ませておくということですか』
推理のように空瑠は呟いたがその視線が一度ベルモットからコンテナの方へ移動した。
「さて、我々は未だ待機かな」
「ベルモットが来ない限りそうでしょう」
コンテナの上でそれぞれ腰を下ろすメンバーに空瑠も同じく腰を下ろす。