翡翠とアメジスト2

□悪意と聖者の行進
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そこからどう話題が転換したのか佐藤と高木のデートの話になり

「噂の彼のご登場のようね」

道路の反対側に止まった車をみて由美は嬉しそうな声を出した。

しかしそこから出てきたのは

「松田・・・」

『?』

隣にいた瑠希が呟いた言葉に空瑠は視線を向ければ驚いたように高木を見つめる瑠希や由美、白鳥だった。

しかし子供たちにはその変装がすぐにバレてしまうが刑事たちは驚いていたと言う元太の言葉に嬉しそうに高木は聞いてくるが

‘パンッ’

高木に飛んできたのは言葉ではなく佐藤の平手打ちだった。

背中を向けて歩き出した佐藤の姿を見ながら空瑠は瑠希に尋ねた。

『先程の松田って・・・』

「3年前に居たんだよ。7日間だけ捜査1課に居た刑事がな。調べたことねぇか?」

『もしかして連続爆弾事件のですか?』

「あぁ。その時に亡くなったのが松田陣平・・佐藤の思い人だったんだよ」

同じように佐藤の後ろ姿を見つめる瑠希に空瑠は視線を移し表情を伺うとその目を閉じた。

同じように高木は白鳥、由美からその人物の事を聞いていた。

そしてパレードの方ではお待ちかねの人物たちがやってきたのか子供達は大慌てでそちらに向かい

「俺たちも捜査に戻るか」

瑠希の一言に白鳥、由美は頷いた。

空瑠もその場を去ろうとしたが

『!?』

感じた視線に辺りを見渡せば高木が止めた車のあたりに居る人影がこちらを見ていた。

『(なんだ・・遠くて人影しか見えないがこの嫌な感じ・・)』

目を細めて見つめればその人物がニヤリと笑ったような気がして空瑠は慌ててその人物を追った。

「おい!空瑠!」

急に動かなくなったかと思えば走り出した空瑠に瑠希は制止の声を掛けるがそれも届かず

『見失ったか・・』

人混みに紛れたのかその人物を見失い空瑠は嫌な予感が治まらずとりあえず瑠希と合流するべく来た道を戻れば

『ん・・?』

高木の車の下に何か置いてあるのが見え確かめようと近づけば同じようにこちらに歩いてくる高木の姿

「空瑠さん、どうしたんですか?」

『怪しい人影が見えたので後を追ったんですが見失いまして・・それより高木刑事の車の下何か置いてありますよ?』

「えっ?」

高木がしゃがむ前に空瑠が先に覗き見れば紙袋のようなものが置いてあるが・・

『なっ!?離れろ!!』

それが何か分かった空瑠は後ろに居た高木を突飛ばす様にして遠ざけたその瞬間

‘ドォンッ’

車が爆発しその音がパレードの方にまで響き渡った。

高木を突き飛ばす様にしたため空瑠の近くで爆破し顔は両手で防いだものの両腕には火傷や硝子の破片による切り傷が大小多々出来ていた。

空瑠は高木の姿を探せばどうやら無事らしく白鳥達と話していた。

安堵の息を吐いて空瑠も向けば

「大丈夫か?」

瑠希が慌てて声を掛けてきた。

『とりあえず生きてます』

怪我の具合は省いてそれだけ言えば瑠希も肩を落とすようにして安堵の息を吐いた。

ふと空瑠は視界の隅に映った光景に驚き慌てて顔を向ければ佐藤が燃える車を起こそうとしている姿が映り走り出せば隣で同じものを見たのか瑠希は

「あのバカ!」

と悪態を吐きながら同様に走り出した。
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