翡翠とアメジスト2

□お尻のマークを探せ
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『哀?』

病院の駐輪場にバイクを止めた空瑠はその見慣れたランドセル姿の背中に首を傾げた。

どこか急いでいるように走る姿を見て

『哀!』

空瑠は声を掛けた。

病院に入る前で灰原は足を止めて振り返った。

「空瑠さん・・」

『どうした?こんなところに』

ポケットの手を入れながら灰原に追いつき首を傾げながら聞けば

「ジョディ先生に・・言いたいことあって・・」

俯きながら話す灰原に空瑠は頭を撫でながら

『一緒に行こうか?』

「えっ?」

空瑠の問いに顔を上げた灰原は驚きの表情をするが空瑠はしっかりと灰原の目を見て

『一人だと、行きにくいんじゃないか?後押しくらいならできるよ』

背中を押すように力を入れる空瑠に自然と灰原は足が前へ進み空瑠と共に病院の中へ入った。

「見舞いに来てくれるなんて嬉しいわね。空瑠も」

「じ・・時間が経ったらまた、考えが変わりそうだから・・」

横に居る空瑠の手を握るようにして灰原はジョディを見つめた。

「考えてくれたのかしら。証人保護プログラムを受けるか否か」

「えぇ・・勿論、断るわ!」

「えっ?」

『・・?』

その言葉に隣にいた空瑠も視線を向けた。

「確かに、別人になれば安全かもしれないけど、ビクビクしながら暮らしてバレそうになったらまた別人になる・・キリがないわ」

そう言って下を向く灰原だが

『それだけじゃないんじゃないか?』

「それに、貴方達FBIを完全に信用できる確証もないし・・それに・・・」

ギュッと握り締める灰原の手を空瑠も握り返せば

「逃げたくないもの」

『いい答えだよ、哀。それに私は生きている限り守る。そう言ったはずだよ?』

灰原からジョディに視線を向けニヤリと笑った空瑠にジョディは肩を竦めた。

「やっぱりそうか」

「反対しないの?」

「えぇ、勿論FBI捜査官としては大反対だけど同じ境遇を知っている者としてはその気持ち忘れないで欲しいわ。それに、空瑠が守るって宣言してる以上それは貫き通すでしょうし」

チラリと空瑠の方に視線を向けるジョディに灰原も空瑠を見上げた。

「空瑠さんを知ってるの?」

「えぇ。今回のことは彼女に救われたようなものだから」

『さて、何の事ですかね』

惚ける様に空瑠は肩を竦めて灰原に視線を移した。

『ジョディさんと話があるけど、それ終わるの待ってくれるなら乗せて帰るよ?』

空瑠の誘いに灰原は一瞬考えるが首を振った。

「まだ明るいから大丈夫。空瑠さんが大丈夫ならご飯一緒に食べたいんだけど・・・」

『OK、なるべく早く帰るよ。先に作り始めててもいいし私を待っててくれてもいいよ』

「わかったわ。じゃぁ・・」

最後はジョディにも視線を向けて灰原は病室を出て行った。

それを確認してジェームズが入ってくるとジョディは途端に唇を尖らせた。

『何が不満なんですか・・』

呆れたように言う空瑠にジョディは

「シュウから聞いたわよ!あなたが仲間を連れてあの埠頭に張り込んでたことも!私が撃たれた銃弾をずらした事も!」

『それで何故怒られるんですか?』

もはや八つ当たりに近くなっているジョディの言葉に空瑠は肩を竦めた。

「だって、本当は私たちが貴方を守らなきゃいけないのよ!?」

「そいつは大きな間違いだ。ジョディ」
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