番外編

□バレンタイン
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空瑠が挨拶を返せば2人はニッコリと笑って

「「ハッピーバレンタイン!」」

そう言いながら両手を差し出すのだった。

『全く・・教室着いてからにしようよ』

空瑠は呆れながらも笑みを浮かべ歩き出し蘭と園子も隣に並んで歩きだした。

バレンタインと言うだけあって男子は浮足立っており教室に着けば

「白夜さんチョコくれねぇかな・・」

「いや、無理だろ」

「彼氏いるって話らしいぜ?」

そんな声が聞こえ空瑠は肩を竦めながら席に座り

『これが蘭の分でこっちが園子の分』

そう言って綺麗にラッピングされている袋をそれぞれの手に渡した。

「ありがとう空瑠!」

「アタシたちはお返しね!」

そう言って蘭と園子からお返しとしてラッピングされた袋を受け取った。

『ありがとう。帰ったら食べるね』

「で?愛しの旦那には渡したの?」

園子はからかいモードで蘭と空瑠に尋ね

「べ、別にあんな奴旦那じゃないわよ!」

言葉では反論するが蘭の顔は真っ赤であり説得力はない。

『園子は?京極さんに渡したの?』

「それが・・真さんまた武者修行とかで日本に居ないのよ」

溜息を吐く園子を蘭は慰めるが

「それより、空瑠は渡したの?」

話題転換とばかりに空瑠に話を振って来るが

『生憎、今朝は会えてないから・・渡すとしたら帰ってからかな』

空瑠は鞄から覗くラッピングに視線を向けながら肩を竦めたのだった。

「おはよう空瑠、蘭君、園子君」

世良も教室に入って来るがこの男子の浮足立った感じに首を傾げ今日は何かあったか尋ねれば

「えぇ!?世良ちゃんバレンタインよ!?」

園子は驚くが

『あぁ・・そう言えばそっか』

空瑠は何故世良が首を傾げるのか納得がいき

『アメリカだと男性から女性に贈るのが主流だよね』

「あぁ。だから僕は今回何も用意してないや」

肩を竦める世良に蘭と園子はそれじゃ仕方が無いと納得し

「アメリカだとどんな感じなんですか?」

「そうだな〜・・結構バラの花とかは定番じゃないか?」

『後は、ディナーに誘ってそのまま告白とかじゃないかな?』

空瑠もアメリカに居た時期があるがこの経験はどちらかと言えば前の世界がそうだった。

この日だけはやたらと男性から食事に誘われ、花は送られ、甘いものは送られさんざんな日でもあった。

「ま、僕の場合はホワイトデーに乞うご期待!って事で」

そう言ってウインクする世良に

『楽しみにしてるよ』

空瑠は世良にもラッピングされた袋を渡しながら言い、それを聞いていた男子たちは“逆チョコ”をすれば良かったと何故か床にひれ伏す様にしながら悔しさなのか何なのか異様な光景が広がっていたとか居ないとか・・・。
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