10万hit記念リクエスト小説

□真剣勝負
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空瑠を見たまま困惑気に眉を寄せる沖矢に

『ごめんなさい。親しくもない男性の家に上がるのは気が引けるので・・・外でお茶でしたらする機会があったら是非』

ニコリと笑って空瑠は踵を返した。

「えぇ。その時には是非」

後ろから聞こえた沖矢の声には反応せず口元には笑みを浮かべたまま空瑠は警察庁へ戻った。















それからも空瑠は独自に調査を続けとうとう沖矢=赤井だと言う事を突き止めた。

『零に報告・・すべきではないわね。私が公安だとバレていないなら、私が彼を殺れば零の情報はそれ以上漏れる心配はない。赤井秀一・・彼だけは・・』

奥歯を噛み締め握りこんだ爪が手のひらに食い込むのもお構いなしに空瑠の目には何も映らなくなり何も感じなくなっていた。











翌日、降谷が公安には来ないことを確認しかの人物に連絡を入れるつもりでいた。

「空瑠さん随分機嫌がいいですね」

風見に言われ空瑠は首を傾げれば

「最近は何かに取憑かれてるのではと言うくらいパソコンと向き合ってましたよ」

肩を竦めながら言う風見に部下たちも頷き

『そんな風に見えてたんだ・・』

空瑠は自分の事ながら呆れたように溜息を吐くが沖矢の正体が分かるまで必死になっていたのは事実だと自分に言い聞かせ

『明日は久しぶりに休みだから零とゆっくりしようと思ってるからかな』

笑みを零しながら言う空瑠に風見も含め部下たちは納得した。

「空瑠さんもですけど降谷さんも相当落ち込んでましたからね」

「気分転換してきてください」

口々に言われる言葉に空瑠はそれぞれコメントを返し

『さて、明日は休みだし、書類関係はほとんど終わらせたから今日は先に帰らせてもらっても良いかな?』

空瑠はパソコンの電源を切りながら尋ねればここ最近で一番休んでいなかったのは空瑠だからと風見に背中を押され追い出されるようにフロアを出た。

今までのが演技と言う訳ではないが空瑠はエレベーターに乗り込み駐車場へ向かう頃にはさっきまでの嬉しそうな笑みは無くなり無表情で殺気立っていた。

警察庁から離れ道路端にあった公衆電話に入ると調べ上げた沖矢の携帯電話に電話を掛けた。

‘プルルルル’

沖矢は工藤邸でいつものように灰原の護衛と言う名の監視をしていれば鳴り響く携帯の着信音に首を傾げながらディスプレイを見ればそこには公衆電話の文字。

「これは・・俺としてでなければいけないんだろうな」

心当たりがある訳ではない。

しかし、沖矢として出るのは間違っていると赤井の本能が告げ首元の変声機に指を伸ばし

「もしもし?」

赤井本来の声で電話に出た。

『あら、沖矢昴の携帯に掛けたはずなのに貴方が出ると言う事はそう言う事なのかしら?』

その声の主に覚えがあり

「俺に電話してきたと言う事は君も公安だと言う事か。白夜空瑠さん」

『私の事も調べたと言う事かしら?』

「君がポアロに降谷君の依頼人として来た時に引っ掛かっていたさ」

『確信したのは貴方と道で会った時かしら?』

「あぁ。俺の動き・・正確には手の動きを見て何かを確信したんだろう?」
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