翡翠とアメジスト
□出会った
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そう言って空瑠は赤井の邪魔をしないようにその場を離れようとしたが
{「このあとは予定があるのか?」}
後ろからかけられた声に空瑠は振り返った。
{『そうですね・・』}
{「秀一、彼女は後、拳銃の方をやる予定だぞ?」}
どうやら話を聞いていたイリネスが会話に加わってきた。
{「拳銃?」}
{『優作さん、それも頼んでくれたんですね』}
{「あぁ、銃の扱いに長けていると言っていたからな。優作から預かっていたんだが、本当に嬢ちゃんみたいな子がこいつを扱えるのかい?」}
渡されたのはデザートイーグル。
手で持てばその感覚はしっかりと伝わりこの重さには覚えがありよくよく見ればそれは空瑠が前の世界で使ったものと同じものだった。
『(なるほど・・選ばれる。か・・また、お前は選んでくれたんだな)』
フッと笑みを見せた空瑠はそれを左手で構えると設定してある的に向かって引き金を引いた。
デカイ銃声が鳴り響くも空瑠は問題なく撃ち続けた。
{「嬢ちゃん、あんた何者なんだ?」}
撃ち終わったデザートイーグルを下げて空瑠は的のほうを向いていれば後ろからイリネスが話しかけてくる。
{「その銃を片手で扱える。50口径なんて大口径の銃の衝撃をもろともせず撃ち続けられるなんて軍人でもなきゃ難しいだろ」}
{『軍人・・ですか』}
その言葉に間違っていないと嘲笑的な笑が溢れた。
{『そうですね・・言うなれば・・・銃を撃つ者には撃たれる覚悟がある者ですかね』}
スッと目を細めて空瑠はイリネスを見つめた。
{「はっはっは・・優作の言っていた通りの人物だな。覚悟のある者か良いな。ますます気に入ったぜ」}
バシバシと背中を叩くイリネスとその様子を見ていた赤井。
{「これ以上はやることがないな。明日帰るんだろ?」}
{『はい。それとこの銃は・・』}
{「イーグルは持っていけ。もともと優作から預かっていたからな」}
{『わかりました』}
そう言って空瑠は自身の懐にデザートイーグルをしまい赤井の方を向いた。
{『良ければ話しませんか?』}
空瑠の方から誘われるとは思わず赤井は目を見開いたが直ぐに笑みを浮かべ了承した。
バイクで来ていた空瑠はそのバイクを赤井のシボレーの荷台に乗せてもらい工藤邸まで送ってもらうことになった。
「俺は赤井秀一だ」
『白夜空瑠です』
「空瑠、と呼んでも構わないか?」
『はい。構いません』
「あの射撃の腕はどこかで学んだのか?」
『両親からですね』
「なるほど。何故、射撃をやるか聞いても構わないか?」
『何故、ですか・・難しい質問ですね』
空瑠は特に答えという答えを持っていなかった。