FBIと護り屋

□出会い編2
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「ねぇ、彼。よく来るの?」

気が付けばジョディはマスターにウィルの事を聞いていた。

「常連さんだよ。よく来てくれてね。贔屓にしてもらってるさ」

マスターは特に個人情報は流さず軽く流すと奥に引っ込んでしまった。

そして学生たちは

「まじでルイってすげぇな」

「これ、足りない分ってか、普通にお釣りがくる額じゃねぇか」

置いて行った札を見て驚きの声を上げるもの、尊敬の眼差しを向けるものと様々だが・・

「誰かルイにここで飲むこと言ったか?」

「いや?言ってねぇと思うぞ?」

「大方、教室で聞こえたか、チラシを見たかしたんだろうな。ジャックが来ることも知って」

ケンはそう言いながらグラスに入ったウイスキーを煽った。

「でも、ルイってこういう集まり来ねぇよな。大体バイトだって言って」

「さっきもスーツだったしな」

「何か、ルイって俺らとタメなのにそう見えねぇよな」

「付き合いとかももっと年上に囲まれてるイメージあるしな!」

「(強ち間違いじゃねぇな)」

ケンは同期の話を聞きながらそんなことを考えていた。

そこからはルイの話題で時間が潰れ

「そろそろお開きにすっか」

ケンの言葉で全員が席を立ちウィルが置いて行った金で会計を済ませた。

「じゃな」

ケンは一人帰る方向が別なため店を出て直ぐに別れると尾行がない事を確かめて裏路地を抜けた。

そしてその先に停まっている車に乗り込めば

『お疲れさん』

「ウィルこそ。ジャックは?」

『当の昔に部屋まで送り届けたよ』

運転するのはウィルで服装もさっきのスーツのままでありケンに封の開いていないペットボトルを渡した。

『居たな』

ウィルは唐突もなく声を出せば

「カウンターだろ?」

『話は聞けたか?』

「俺はお前ほど耳が良いわけじゃねぇが・・ウィルがそっけないって事とあの捜査官、諦める気がないって事だな」

『んの野郎』

舌打ちしながらウィルはポケットから煙草を取り出すと咥えた。

「珍しく本当にイラついてんな」

普段は舌打ちをしても煙草は吸わないウィルが煙草を吸ったことにケンは苦笑を零した。

「そういやウィルがジャックを回収してからウィルの事が話題になったな」

『はっ?』

ウィルは意外だと言わんばかりに呆けた返事をした。

「まぁ、話題つってもウィルが集まりに来ねぇとか、年上に囲まれてるイメージがあるとかそんなだな」

『それって・・俺らの大学の名前でたか?』

「いや・・あ〜・・」

ケンは出ていないと言おうとしたが誰か口走っていたような記憶があり視線を逸らした。

『はぁ〜』

ウィルは赤信号で止まるとハンドルに頭を乗せ項垂れた。

『死亡フラグじゃねぇか』

「確実に・・来るな」

本気で項垂れているウィルにケンも冷や汗を流すが掛ける言葉は見つからず結局そのままアジトに向かったのだった。
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