FBIと護り屋
□勧誘編2
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ウィルは今ほど表情も無くかなり無口な人物でありケンは近づきがたい人物だとその時は認識していた。
父親をマスターが、ケンをウィルが護る事になりウィルはケンと同い年と言う事もありケンの身辺警護をするためそのまま同じ高校に通う事になった。
「これからお前を護ってくれるルイ君だ」
『・・ルイだ。お前の事は必ず護る』
自分と同い年の言葉とは思えず、そして表情のない顔と一定の声にある種の恐怖をケンは覚えたことを未だに忘れられない。
しかし、ケンからすれば何故自分が護られなければいけないのかも分からず16歳ならば少し冒険したいと考える年頃でもある。
しかし、授業が終われば
『何してる。さっさと帰るぞ』
必ずと言っていい程ウィルは授業が終われば帰宅を促した。
行動の強制も縛られる事にもケンは苛立ちを感じ
「お前の指図には従わねぇ!」
ケンは啖呵を切る様にウィルに言うと持っていた鞄をウィルに投げつけそのまま走って行ってしまった。
『はぁ・・馬鹿が』
勿論、投げつけられた鞄は受け止めている為ウィルに怪我はなくケンが去っていた方を見て溜息を吐いた。
ケンが走ったのに合わせて自分たちを尾行していた数名の足音が移動したのをウィルの耳は捉えていたからである。
『何のために俺が居ると思っているんだ』
自分が護られる意味を考えろとウィルは呟くと急いで後を追った。
ケンはウィルから遠ざかりたいばかりに何処かも何も考えず走り続け裏路地に入ってしまった。
「はぁ・・ここは?」
乱れる息を整えながら膝に手を付き辺りを見渡すが場所が分からず
「やっと1人になってくれたぜ」
「手間取らせんなよ」
「良いじゃねぇか。こいつから1人になってくれたんだからよ」
路地から出てきた大人はケンを見下ろすと口元に笑みを浮かべながら距離を詰めてきた。
「な、何だよお前ら!」
ケンは壁に背を付けながら虚勢で声を上げるが「何って?お前を捕らえて売り飛ばすんだよ」
「いーっつももう1人いるからなかなか手が出せなかったけどな」
下卑た笑みを浮かべる男たちにケンは恐怖で震えた。
『その辺にしとけよ。お前らじゃそいつを捕まえるなんて出来ねぇよ』
そう言って路地に入ってきたウィルは着ていた制服のネクタイを外し止めていたワイシャツのボタンも上から2,3つ外すと袖を捲くった。
「お前・・」
『だから、俺から離れんなって言ったんだよ』
ケンは現れたウィルに声が出ずウィルはそんなケンを見下ろすと溜息を吐いた。
「おいおいおい、お前1人で何が出来んだよ!?」
そう言って男たちはウィルの殴り掛かろうとするが
‘パシィッ・・ドゴッ・・ドガッ・・バキィ’
拳を受け止めそのまま回し蹴りを繰り出し更に踵落としや膝蹴りで相手を沈めて行きをウィル囲っていた男たちは数秒で倒れ伏し