3万hit記念リクエスト小説
□赤井の苦悩
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そして凛は両親が自慢だというが・・
頭脳明晰な部分はあるがまだまだ冷静沈着とは言えず両親の後ろ姿を見てきたせいか人一倍正義感が強く
「どうして虐めるの!虐めはダメだよ!」
虐められている子を放っておけず背中に庇うようにして仲裁に入っていた。
勿論、虐めていた側は凛の登場に顔を歪め凛に攻撃しようとするが、彼らの子供なだけあり運動神経は申し分ないため返り討ちにしてしまった。
勿論、それを見た担任はまたかと頭を抱えながら保護者である赤井の携帯に電話を掛けたのだった。
‘プルルル’
FBI本部では結婚するまで仕事中に鳴る事がなかった赤井の携帯に何度となく電話が入るようになり
「はい。赤井です」
キーボードを片手で打ちながら対応すれば・・
「あぁ、またですか。分かりました。すみませんなるべく早く行くようにしますので」
何度目なのか呼び出しであった。電話を切った赤井は思わず頭を抱え
「凛ちゃん、これで10回目ね」
クスクスと笑いながら隣のデスクで書類整理をしていたジョディは可笑しそうに赤井を見ていた。
「凛は正義感が強いんだが・・如何せんそれが突出しすぎているからな」
「流石、シュウと空瑠の子供ね」
「空瑠は早い段階で凛の正義感の強さが突出することが分かっていたらしくてな。だから体術は教えていないらしい」
「え?どうして?」
空瑠の事だから護身術は身につけさせていると思っていたジョディは首を傾げた。
「凛は確かに頭脳明晰だが、冷静とは言えない。俺もそこは同感しているし体術を学ばせると加減できない故に大怪我をさせてしまうだろうと空瑠は危惧していてな。俺も截拳道は教えるなと言われている」
「へぇ。空瑠はそこまで考えてたのね」
「まぁな。現に今はこれだけ呼び出されるからな」
報告書を書きながら赤井は溜息を吐き
「狙ったように空瑠が日本に居る時に問題を起こすからな・・」
ボソリと呟いたその言葉の裏には空瑠がアメリカに居る時は再三言い聞かせるようにして教えていたからなど赤井が知る由もない。
何とか定時で仕事を終わらせ赤井は凛の通う学校へと向かったのだった。
「失礼します」
来ることに慣れてしまった会議室に赤井が向かえば
「お呼び立てるようなことをして申し訳ありません」
担任は頭を下げ赤井は凛の隣に座った。
「いえ、娘がいつもすみません」
そう言って頭を下げる赤井に担任は苦笑しながら首を横に振った。
「正義感の強い良い娘さんだと私は思いますよ」
「如何せんそれが強すぎる気がしますが・・」
担任は赤井、そして空瑠の職業は聞いているため凛の正義感の強さは両親の遺伝だろうと思っていた。
「実際、今回凛さんは虐められた子を庇い仲裁に入ったんですが、虐めていた子供たちが凛さんに攻撃し返り討ちに遭ってしまったので・・凛さん1人の責任とは言えないんですよ」
担任は起こった出来事を事細かに話赤井は聞いていくうちに頭を抱えたのは言うまでもない。
「すみません。後は私の方で言い聞かせますので」
既にこの言葉は赤井の中で定着しつつある言葉となっていた。
担任も苦笑しか出てこず赤井親子を帰したのだった。