3万hit記念リクエスト小説
□ストーカー編第二弾
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『っ!』
「お疲れ様です。安室さん」
戻ってきた安室を笑顔で迎える梓と顔を青くして俯く空瑠。
『梓さん。美味しかったです。有難うございました』
空瑠は震える手でカウンターにお金を置くと店を飛び出した。
「えっ?ちょっと、空瑠さん!?」
慌てて梓が声をかけるが空瑠は既に店の外に出ておりそのまま走って行ってしまった。
「どうしたんだろう・・?」
梓は首を傾げながらカウンターのカップを片付けると安室は今の空瑠の反応と少し見えた空瑠の顔色や表情で思い当たることがありポケットに入れていたスマホで電話を掛けた。
自分からは絶対に掛けたくないと思っていた人物に。
‘プルルル’
数回のコールの後に
「君から俺に電話が来るとは思っていなかったよ安室君」
「僕だって好き好んで貴方に掛けたくありませんよ。空瑠さんのことが気になって電話したんです」
「?空瑠に何かあったのか?」
ここ数日電話が出来ていなかった赤井は状況が分からず安室に説明を求めれば
「それは単に君が嫌われているというだけではないのか?」
赤井の言葉に安室の顳かみに青筋が浮かび
「面白くもない冗談はやめてもらえますか?」
若干スマホが嫌な音を立てている様な気がするが・・
「冗談だ。それで、空瑠はポアロで普通に話していたのが安室君が入った瞬間に怯えたんだな」
「えぇ。そこは間違いありません」
ふむと考え込んだ赤井の後ろではエンジン音が響き
「赤井・・もしかして運転中じゃ・・「すまないが急を要することになりそうだ。空瑠が危ない」っは!?」
何をどういう結論でそうなったのか分からないが安室は赤井の言葉に安室の仮面が外れ降谷の姿が一瞬現れ
「どういうことですか?」
「そのままの意味だ。おそらく空瑠はストーカーに遭っている。その事を俺に言わなかったのは物理的な距離がそうさせなかったんだろうが他の人に頼らなかったのは何かあるんだろう。頼れなかった何かが」
「ちょっと待ってください。物理的な距離って・・貴方どこにいるんですか?」
「ついさっき日本に着いた所だ。10日掛かると言われた仕事を1週間ほどで終わらせてきたんだが・・その間は連絡を取ることが出来なくてな」
ふとポアロの窓に映る赤い車に安室はスマホから耳を離しそちらを見た。
そこに止まるのは赤のマスタング。
「梓さん少し出てきます!」
「えっ!?安室さん!?」
電話をしていたかと思えばエプロンを外して安室は外に出ていき
「どういうことですか?」
「説明している暇はない。乗るのか乗らないのか決めてくれ」
ハンドルを指でカツカツと叩きながら赤井は鋭く安室を見つめ気圧されるように安室も助手席に乗ると
‘ポイッ’
「はぁ!?」
いきなり投げられたスマホを慌ててキャッチするとそこにはGPSの情報が表示されており
「説明はするがナビをしてくれ。さっさと出すぞ。シートベルトを締め無かったせいで舌を噛んでも責任は取らん」
「ちょっと!」
慌ててシートベルトを締める安室と言うが早いか赤井は車を発進させた。