3万hit記念リクエスト小説
□だらけた先輩の裏側に惚れる
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そして空瑠が予想した3日目
「ボス、指導役を変えてください。あんな人が指導役だと私は思いたくありません」
そう言って赤井が視線を向ける先ではデスクに向かうように見えて器用に頬杖をついて眠っている空瑠の姿。
「ははは・・まさに空瑠くんの予想通りになったか・・まぁまぁ、赤井君もう少し頑張ってみる気はないかね?」
「ありません」
ジェームズの言葉にバッサリと言い切った赤井にジェームズは苦笑し
「空瑠くん、外回りをお願いできないか?」
『了解』
今まで眠っていたのが嘘ではないかというくらい空瑠はパチリと目を開け立ち上がると両手ジャケットに突っ込み顎でフロアの出口を指すと空瑠は歩き出した。
赤井は唇を噛み締めるようにして空瑠の後を付いていった。
「おい、車じゃないのか?」
本部入口から出ていく空瑠に赤井は駐車場を指すが
『いらないよ。それに、そんなもの必要ないさ』
そう言いながら歩き出す空瑠に隠しもせずに赤井は舌打ちをし空瑠のやや後方を歩いていた。
無言のまま歩く二人にすれ違う女性は顔を赤くするが当の本人たち、特に空瑠は気にもとめずに視線のみを動かし続けていた。
赤井は空瑠を殺しそうなほど背中を睨みつけていた。
『気に食わないのはわかるけど、視線で穴が空きそうなんだが?』
鬱陶しそうに後ろを向いた空瑠に赤井はまたも舌打ちをした。
「この見回りに何の意味があるんだ?」
『ここ連日この辺りで発砲事件が起きてるのは知ってるっしょ?未だ犯人は捕まらず、FBIだとバレないようにこうやって見回りさ』
空瑠は面倒くさそうに説明するとまた前を向いてしまった。
『・・・』
微かに空瑠の耳に届いた銃声。
勿論、赤井には聞こえていなかったわけで
「何だ、急に止まって」
不愉快とばかりに空瑠に文句を言う赤井に空瑠は一瞬視線を向けたが
‘ダッ’
「おい!」
急に走り出した空瑠に赤井は声をかけるが気が付くとその背中を見失いそうになり盛大に舌打ちをして後を追い始めた。
「ううう動くな!動いたら撃つからな!撃つからな!」
どうやら街中で銃撃騒動が起こり犯人たちはそれぞれ人質を取った模様。
そして声を張り上げた犯人はおそらく素人。
その様子を見ていた空瑠は腕を組んで野次馬の一人と化していた。
「おい、さっさと応援を呼ばないと人質が・・」
空瑠の横に追いついた赤井が空瑠にそう提案を持ちかけるが空瑠はそれを否定。
「どうするつもりだ」
『助けるのさ』
一言、空瑠はそう呟くと地面に落ちていた空き缶を拾うとそれを手に持ち犯人たちがいる近くの壁に向かって思い切り投げた。
‘カァン’
壁にぶつかった缶が甲高い音を立てたため犯人たちは一瞬そちらに向いた瞬間
‘ドスッ・・バキィ・・ドガッ・・ドゴォッ’
流れるように4人の犯人は頚椎に手刀、喉元に踵が食い込み、腹部に膝蹴り、側頭部に回し蹴りがそれぞれ決まり気を失った。
『怪我はないかな?お嬢さん方?』
人質にされていた女性たちは腰が抜けたように犯人が気を失い倒れるのと一緒に地面に座り込んでいた。