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□敵に回してはいけない人たち
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「躾というか、礼儀がしっかりしてますね。龍一くん」
「空瑠くんの教育の賜物だろう。おそらく」
「ある意味、俺らより年下の空瑠が既に一児の母ってのが現実突きつけられてる気がするがな」
瑠希は肩を竦めるが
「瑠希さん彼女いますよね?」
「お前だって居るだろうが」
悠はジト目で言えば即座に返される瑠希の言葉に悠は
「僕はまだ結婚とか考えられません」
そっぽを向く悠に瑠希は喉で笑った。
その戯れ合いの様な会話を聞いていた龍一は振り返ると瞬きを繰り返した。
「どうかしたのかね?」
同じく二人の会話を微笑みながら見ていた羅瑠は龍一の反応に首を傾げた。
「いえ、母さんは結構物静かと言うか・・あまり必要以上に騒がないので何というか・・母さんの仲間も物静かなイメージが」
龍一の言葉に羅瑠はフッと笑うと
「確かに空瑠くんはバカ騒ぎするような人じゃないが・・物静かすぎるのも良いものではないからね」
羅瑠の言いたいことがイマイチわからないのか龍一は首を傾げるがそれ以上は聞かず未だ言い合いをしている瑠希と悠に一瞬視線を向けるとまた前を向きリビングに向かった。
お茶の準備をしていた空瑠は
『なにか聞きたいことがあるの?龍一』
背後で様子を伺うようにこっそりとキッチンを覗く息子の気配に気がついており振り返りながら言えば
「母さんの仲間って良い人だね」
ボソリと呟いた龍一に空瑠は一瞬呆けるが
『良い人たちだよ。それに、本当に信頼できる人たち』
クスクスと笑いながら言う空瑠に龍一はそっかと呟いてお茶菓子の入ったお皿を持つとリビングに向かった。
『あ、珈琲切れちゃったか・・秀一帰ってきたら飲むよね・・』
仕方がないと空瑠は肩を竦めて買い物に行くべく準備をした。
『龍一、買い物行ってくるけど羅瑠さんたちと一緒に家にいてくれる?』
リビングで声を掛ければ
「俺が行くよ。母さんも話したいことあるでしょ?」
ソファから降りて空瑠の手にあるバックを奪った。
『じゃぁ、お願いしていい?』
「任せて。何買ってくれば良い?」
『珈琲の豆とフィルターってわかる?』
「うん。いつも母さんが淹れてるの見てるから大丈夫。豆っていつもの?」
『そう。それを買って来てくれる?』
「分かった。あのさ・・ついでに隣のお店に売ってるクッキーも良い?」
いつも豆を買う店は決まっているためその隣のお菓子屋さんが意外に龍一はお気に入り。
空瑠は下手に出るように伺う息子の姿に笑みを浮かべ
『好きなの買っておいで』
頭を撫でると送り出した。