Lethal Ability

□6話 人型魔人形
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「通信が切れた?」

一方、その頃地上では、クロスの予想通りにアルオスがクロスたちの通信の異常を察し、動き出していた。
その知らせを通信機で聞いたヴァキネルが顔をしかめた。

「何かあったと考えるのが吉だな」

「そうか…」

アルオスが告げると、神妙な声色で返すヴァキネル。

「ではすぐ別の道を探そう。また何かあったら教えてくれ」

「あぁ」

プツッ

そう言うとヴァキネルは通信を切った。

「さて…では下へ行かないとな」

レイピアを握りいつも通りの笑みを浮かべるヴァキネルの周りには、数十体の魔人形の残骸が転がっていた。
その残骸を踏まないように颯爽とヴァキネルは部屋を出た。

‐―‐最近ここらが荒れているのは知っているが、この魔人形の多さは本当に異常だな。

ヴァキネルはそう感じた。
実は彼が施設に戻ってきた理由は仕事が終わっただけではなかった。

最近の魔人形暴走事件は施設の付近が一番多いとの情報が入ったからだ。
だから付近の魔人形を討伐するのが、破壊者をまとめている”本部”からの伝言だった。

実際、ここに来て沢山の魔人形と戦ったヴァキネルはそれを痛感する。

‐―‐一体ここらで何が起きている…?

ヴァキネルは残骸を見下ろすと顔をしかめた。
そして一階に続く階段のある廊下の角を見ると、見慣れた服が走り去っていったのが見えた。

「…ユレイヤ?」

そう言うと、ヴァキネルは過ぎ去った影をいつの間にか追っていた。

…追いかけなければならない気がした。

何故だかはわからない。

だが、

ユレイヤは今追いかけないとどこかへ行ってしまうと感じた。



「…全く今日の私はどうしたんだろうな…っ!」


自嘲気味に笑い飛ばすと、ヴァキネルはレイピアを手元から消し、走ることに集中した。
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