文スト
□君ト心中
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ある晴れた日のこと。
一般人なら、いい洗濯日和だー。とか、いい天気だから外に…とか言うのであろう。
私も例外ではなく、探偵社から少し歩いて、散歩をしていた。
けれど…
「嗚呼、そこの美しい御婦人!」
「え?ええっ⁉︎」
「今日はいい心中日和だ!さぁ!私と是非…」
彼からすれば、いい“心中日和”。
「やめなさい!」
私よりも幾分か高い背丈である彼の襟を掴む。
「名無しさん!どうしてここに?」
「お散歩中です。あ、どうぞ、行ってくださいな。」
太宰さんに捕まっていた女性を解放する。
「全く…国木田さんが怒りますよ?」
「私は社の名が穢れるような事は一切していないよ?」
そんなことは無い。
「そういえば、散歩中と言っていたね?折角ならお茶でも飲もうか。」
「そうですね。」
こう見えても、私と太宰さんは恋仲にある。
だいぶ慣れてはきたが、それでも女性を心中に誘っている所を見るのは、あまりいい気分ではない。
「今日は“うずまき”じゃないんですか?」
「ん?ああ。美味しい洋菓子と紅茶があるお店を見つけたからね。」
自然と繋がれる手。
「おや?少し顔が赤いようだけれど…」
「き、気のせいです!」