文スト
□想ウガ故ノ嫉妬
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彼は、本当に
私のことを想ってくれているのだろうか?
「国木田さん。資料、出来上がりました。」
「あぁ、助かる。そこに置いておいてくれ。」
「はーい。凄い隈ですね。」
「奴が働かないせいでな。」
国木田さんが目を向けた先には…
「心中は 一人では できない〜♪」
なんとも不謹慎な歌を歌っている彼、太宰治。
私の彼氏である。
「おい、名無し。お前からも言ってやってくれないか?」
「今は無理です!」
何故なら…
数日前。
「ねぇ、ナオミちゃん!」
「どうされましたの?」
「私ばっかり嫉妬して…悔しいんだけど!」
街中で女性に声をかけまくっている太宰さんに妬いている私に対して、探偵社の男性陣に話し掛けたりする私を何とも思っていない様子。
それどころか、国木田さんに悪戯をするために利用される羽目に。
「それは見知った人だからですわ。もっと他の男性に…」
「えぇー…いないよ、そんな人。」
「なら…しばらく距離を置かれては?」
そんな彼女の提案によって、太宰さん禁止令が出ているのだ。
「なら、お前が奴の分も働いてもらおう。この暑中見舞いを届けてきてくれ。ここが行き先だ。」
「…分かりました。」
この暑い中か…
重い足を引きずり、探偵社を後にする。