白銀世界
□再開と……
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ありがちな消毒の匂いと、規則正しい電子音。
目を開けると白い天井にカーテン。
何度も見た事のある風景で、私は自分が気絶したことに気が付いた。
きっとさっきの戦いだ。
途中で少年が現れて……
あれ?そういえば、あの少年、額に炎が…
『死ぬ気の炎だ……』
なぜあの少年に死ぬ気の炎が?
あれが使える少年なんてそうそう……
「チャオスッ 目が覚めた見てぇだな」
私のベットのカーテンが開き、小さな子供と金髪のイケメンが入ってくる。
『リ、リボーンちゃん!?それに、キャッバローネの…』
「ディーノだ。山本 名無しさん。」
『!?私の名前……』
なんでここにボンゴレ同盟ファミリーのキャッバローネのボスとリボーンちゃんなんかがいるんだろう。
しかも私の名前も……
「謎に思うことも多いと思うが、今はそれについて話してる暇はねぇんだ。名無しさん、お前はなんで日本に来日したんだ。」
そうだ、リボーンちゃんに言われて気づいた。私が今回来日した理由。
『私は…今回ボンゴレの指示では動いていないんです。』
リボーンちゃんとディーノさんが驚いた顔をしたけど、気にせず続ける
『最近、9代目の様子がおかしいと感じました。それで、その真相を調べるためにも9代目が10代目候補として一目置いている少年がいる日本に、独自で調査をしに来ました。』
「そうか…おめぇも大変だったな」
「怪我がないようでよかったぜ」
ディーノさんのイケメンスマイルに照れながらも、私は気絶する前の記憶を思い出した。
白銀の……髪の毛。あれが頭をよぎる
『そうだ!!リボーンちゃん!なんでヴァリアーが日本に!?それに、あの死ぬ気の炎の少年は!!』
そうだ、私はさっきまでヴァリアーと戦って、それで死ぬ気の炎を灯した少年に吹っ飛ばされて気絶してたんだ。
「落ち着け、名無しさん。実はな、ハーフボンゴレリングが狙われてるんだ」
『!!ハーフボンゴレリングが!?』
「さっきのヴァリアーの奴はそれを狙って日本に来たんだぞ。」
ハーフボンゴレリング、それは強大な力が手に入るボンゴレ政党後継者の証……しかし半分だけではただの欠片に過ぎない。対となる二つが揃って初めて後継者の証、ボンゴレリングとなるもの。
でも、まさか9代目と門外顧問の意見が食い違うだなんて……
『でもなんで門外顧問の家光さんは9代目の意見とは違う候補者を出したんです?』
「いや、候補者を変えたのは9代目の方だ。」
そんな……、あの9代目が自分の意見を変えるだなんて。
私の頭は混乱する。
その私を大きい瞳で見ながら、それからとリボーンちゃんは話を続ける。
「お前が言ってた10代目候補で死ぬ気の炎を灯す少年はそこにいるぞ」
そう言い、病室のカーテンを顎で指した。