白銀世界

□離れない白銀の髪
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その夜は、家族でお寿司を食べながらたくさんの話をした。



向こうでは何やってたんだ〜とか。


飯はちゃんと食ってるのか〜とか。


たわいのない話だ。




そして久しぶりに、自分の部屋のベットで眠りについた。








「ゔぉ"ぉぉぉおい! 起きろ!!いつまで寝てる!」



『んー?誰……?』



家族のものではない声。
だけどその声と怒声(?)には聞き覚えがあった。


目を開けると、白銀の髪の毛の人。
今日、出会った剣士。
ヴァリアーの人。


『え!?な、何であなたが!?てかここはどこです!!』



周りを見渡せば、私が寝たはずの部屋とは違い、真っ白で清潔感あふれるスイートルーム並の広さの部屋。

ベットだって、さっきまで寝ていたシングルベッドとは違い、ダブルベットかキングサイズだ。


私がきょろきょろしている様子を見てか、昼間の剣士は端正な顔を歪める。



「ゔぉぉい……?体の調子でも悪いのかぁ?」


そういいながら、彼は私の髪を優しく撫で、それと同じくらいの優しさで、私の唇にキスをした。



『はぁ!!??』



キス!?キスされた??

離れた唇には、優しく甘い熱が灯る。
おかしい、こんなのは。

だって彼とは今日初めて会って……
そもそもなんでこんな場所に?
私は自分の部屋で寝ていたはず。


狼狽える私を、怪訝そうに見る彼。
その顔もまた素敵で……って、いやいやいやいや!何考えてるんだ。



「体調が悪いんだったら、今日は休んどけぇ……ザンザスには俺が言っとく」


また優しく頭を撫でてから、立ち去ろうとする剣士を見て、私はわれに帰る。
聞かなくちゃいけないことが山ほどあるのだ。

聞かなくちゃ、待ってまだー



『待ってください!貴方は一体……!』








『誰なの……!!』


目を開けるとそこは、見覚えのあるー
というよりは、馴染みのある自分の部屋だった。
景色も、ベットもすべて元に戻っている。


もちろん、あの剣士もいない。





『あれ……まさか……夢?』
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