白銀世界

□報告 連絡 相談
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暖かい風と、日本とは違う空気感。
古くお洒落な街並み。
歩く異国の人々。


『ただいま…』



生まれ故郷は日本だけど、14歳から暮らしているここイタリア。
数日間離れていただけでも懐かしさが溢れている。


先程、私はまたこの地に帰ってきた。そしてボンゴレ本部に向かい、日本での状況を説明した。
予測していた通り、ボンゴレ本部はこのことに関しては動くつもりもなくツナくん側につくつもりも無いという。

もちろん私は単独で日本に行ったことをしこたま怒られ、見事謹慎を食らってしまった。



「あはは、そりゃ大変だったな!!」



そんな私の話を聞いた家光は電話越しに愉快そうに笑う。



『大変だったなじゃないですよ…お陰様で自宅から出られそうも無いですからね〜』



そういい、自宅の窓から外を見ると、懐かしい景色の中に溶け込みながらも私を監視するボンゴレ本部の人。


『おまけに監視までつけられちゃいましたしね、こっそり武の戦いを見に行こうとは思ってましたが、それも無理そうですよ……』



「あはは!!」


また愉快そうに笑う家光。
笑い事なんかじゃないっていうのに、なんともおめでたい人だ。








家光との電話が終わった後、今度は武から電話があった。

私が帰国してからのリング争奪戦についての話をした。



「今日の夜は俺の戦いなんだ」


明日、武が勝たなければツナくん達はリング争奪戦で負けてしまうことになるらしい。
そんな危機的状況なのに、武の声はこの状況を楽しんでいるように感じた。


『勝った方がいいんだろうけど、命だけは危険にさらさないで。命が危ないと思ったら逃げてもいいんだからね』


きっと、ツナくんだってそう言っただろう。
スクアーロさんは、私が戦ってきた敵の中でとても強い。武だって1回やられたんだから、油断ならない。


『終わったら、連絡しなさいね!』


たまにはおねぇちゃんヅラをしてみた。
武が無事でありますように。


スクアーロさんも、どうか無事で……。
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