白銀世界

□初めまして!
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『失礼しました…』



重い扉を開け、重苦しい雰囲気の部屋から脱出した私とスクアーロさん。

スクアーロさんは、先ほどのザンザスさん……じゃなくて、ボスの命令に納得いかないようでイライラしていた。



私はというと、しばらくの間信用できる存在と判断されるまで幹部補佐としてヴァリアーの入隊を許可された。

幹部補佐というのは、名前の通り幹部の皆さんと一緒に任務に出向いたり、
幹部さんの仕事を手伝ったりといったことらしい。

だけどそれは名前だけで、幹部の近くに置いてスパイかどうか判断したり、スパイだった時にいつでも殺せるようにするためにしている事。
マフィア界ではよくある事だ。



『あの、私はこれからどうしたら…?』


横でイライラして、目を充血させているスクアーロさんに質問する。


「知るかぁ、俺は子守なんてしねぇぞぉ。くそっ…」



そういい、づかづかと細長い足を利用して大股でどこかへ行こうとしてしまう。

私道わからないのに!
ただでさえ、今はスパイかどうか疑われているのだから一人にされては困る。


『ちょっと、待ってください!』



長い髪をなびかせながら歩くスクアーロさんの背中を追い走った。










『待ってくださいって!!スクアーロさん!!』



彼を追うこと数分。息が切れる。1体どれだけ足が長いんだろう。

スクアーロさんは、一際大きい扉を荒々しく開け中へ入っていった。
勿論私もその後を追う。



『スクアーロさん!!』


中へ入るとそこにはソファーに長テーブルに……いわゆる広間のような場所。
何人か人がいたが中には、先ほどの金髪少年と黒フードの赤ん坊が。


「ししっ、誰かと思ったらさっきの奴じゃん。何?スクアーロの連れになったの?」


ニタニタと笑う少年に、怪訝そうに私を見る赤ん坊。
そして、赤ん坊の一言。生きてたんだ。

いやいや、本当に私は殺される予定だったとでも言うのか。


「なんだ、ベルとマーモンは知り合いかぁ」


私を押し付ける相手でも見つけたらしいスクアーロさんは少しさっきより嬉しそうだ。
なんだろう、やっぱり夢のスクアーロさんとは違う。優しくないし、私に笑顔も向けてくれない。
さっきから私の前ではすべて眉間にシワを寄せている。



『あの!!私今日から幹部補佐として務める事になりました!!山本 名無しさんです よろしくお願いします』


自己紹介する。こんなに幹部の人がいるんだったらもうちょいおしとやかに入ってくればよかったな。そう思いながら頭を下げる。 これは日本人だけがやるとかなんとか聞いたことある。



「あら、やだぁ!可愛らしい娘じゃな〜い?」


おじぎしている頭上から、甲高い……けど、女の人じゃない声が聞こえた。
この声、聞いたことある。あの、初めてヴァリアーの幹部にあった夜の


「もう!顔を上げてちょーだい!」


そう言って背中をバシバシと叩かれる。
軽く叩くぐらいじゃない。もうそれはバシバシと。
顔を上げるとカラフルなモヒカンにサングラスの大男。


「私はルッスーリア。よろしく〜」


体をくねらせながら頭上にはハートが飛んでいる。


「ほ〜ら!皆も自己紹介しちゃいなさい!」


ルッスーリアさんが周りを見渡して催促はするが幹部の皆さんは特にする気もないらしい。そっぽを向いたりニヤニヤしたりしている。



「も〜ノリ悪いんだから〜」



じゃっ、私がするわね と、語尾にハートをつけながらルッスーリアさんは幹部一人ひとりを紹介してくれた。


さっきここまで釣れてきてくれた金髪少年はベル君。
黒フードの赤ん坊はマーモンちゃん。
隅に立っているツンツン頭の強面はレヴィさん。
そして、スクアーロさん。

なんとも個性派な集団というか、なんというか。
キャラが濃い人が多いと思った。


「まっ、幹部はこんなもんよ〜」



『ありがとうございます!ルッスーリアさん!』



見た感じはゴツいけど、優しい人だと思う。
横のスクアーロさんはといえば、そんなルッスーリアさんと私のやり取りを横目で見て舌打ちしている。


「ところで、幹部補佐って何なのかしら……?」



「ムッ 僕もそれは気になっていたよ。」



自己紹介も済んだところで皆が私へ抱いていた疑問を持ちかける。
その質問をされるということは、私以外そのような役職がいないということか。


でも、実際どういう役職だろう。雑用とかぐらいにしか考えてないけど。



「こいつはボンゴレのスパイかもしれねぇから、今日から俺がこいつの監視役だぁ」



いや、それ初耳ですけど!?
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