白銀世界

□離れない白銀の髪
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まさかのさっきまで見ていたのは全部夢だった。

スイートルーム並の真っ白な部屋も、キングサイズぐらいのベットも、白銀の剣士にあのキスも……


『あ〜何変な夢見てるんだろ』


確かに、あの時会った時に感じた胸のドキドキは戦いによるものじゃなかったと思う。
でも、敵だし、名前も知らない訳だし……



『思春期の女の子じゃあるまいしさ…』



まさか、名前も知らない人とキスする夢を見るだなんて。
久しぶりに家に帰ってきて浮かれてるのかもしれない。



枕元の時計を見ると、時間は5時。
起きるにはまだ早いけれど寝ようとは思えなかった。



「あれ?姉貴も走んの?」



寝れなくて、家の周辺を歩こうと外に出ようとしたら武に会った。
練習着姿が爽やかだ。



『ううん、早く起きちゃってね。そこら辺を散歩しようかなと思ってさ』



「じゃぁ、一緒に走んね?」



可愛い弟の頼みだったらしょうがない。私はスウェット姿で武の朝のジョギングにお供させてもらった。




朝日が眩しく、肌寒い風が頬に当たる。


「で、そしたらツナと獄寺がよ〜」


一緒に走る武はキラキラとした笑顔で学校のことを話している。

ツナくんは昨日会った10代目候補の子か。獄寺って子は誰だろう?

そんな事を考えながらも、頭の片隅にはさっきまで見ていた夢の事が引っかかっている。



「姉貴……?」


『え!?何?』


「いや、なんかボケってしてるからよ、なんかあったのか?」



やだな、私ったら。せっかく武がこうして私を誘ってくれて話しているのに。
武に相談したら、少しは解決したりするのかな…



『あのね、夢を見たの。』



「夢?」



『その…昨日初めて会って、名前すら知らない人が夢に出てきたの。その人のこと知らないのに、夢の設定?では、その人と凄く親しい仲みたいで……』


キスされたことは伏せたけど、なんでこんな夢見たのかだとか
いつもだったら軽く何も思わないような事なのにどうしても引っかかってしまう。
そんな事を武に話した。



『ごめんね、こんな変な相談しても訳分からないでしょ?』



「よくわかんねぇけど、姉貴その人のこと気になってんのな!」


『え……』



まさか、そんな事言われるだなんて思わなかった。
でも、心のどこかでは思っていた。信じたくなくても、私はあの白銀の髪の毛を忘れられない。
頭から離れない。


『武、なんか、ありがと!』


「??おう!」



少し答えが見つかった気がした。

私はあの人のことが気になってるんだー
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