賢者の石
□第2章
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「何処よ、ここ……。スネイプ先生の部屋って地下にあると思って、降りたはいいけど」
レイは迷子になっていた。
スネイプは恐らく、地下に向かったと思って、階段を見つける度に降って行ったのだが……。
地下は地下だが、歩けども歩けどもスネイプの部屋は見当たらなかった。
近くに人もいないし、聞こうにも聞けない。
せめてホグワーツのゴーストがいたら、聞けるのだが……。
「もう、なんか泣きそう……。そりゃあ、夢小説みたいに事がそんないけしゃあしゃあと進む訳ないとは分かってるけど……ん?」
ふとレイは寒さを感じて身震いした。
地下なんだから寒いのは当たり前だ。
だがさっきよりも肌寒い。
「冷房かなんかかかってるの?
って、何あれ……」
だだ広っい広間の真ん中に、人1人が入れる程の水晶が置かれていた。
寒さの原因はこの水晶の所為だろ。
そして、その水晶の中に……。
「水晶の中に男性がいる……えっ、これ生きてるの?」
某巨人漫画で見た事のある水晶体の中に、1人の男性が眠って入っていた。
水晶体は浮いている。
そっと水晶体に触れると、ひんやりと冷たい感触だった。
何事も起きないので、少し力を込めて水晶体に触れてみる。
と、触れた箇所からバキッと音が鳴った。
えっ、と思い手を離して見ると、触れた箇所にヒビが入っている。
レイは恐る恐るまた触れてみる。
最初のヒビを中心に、水晶は派手な音を立てながらヒビが入っていく。
レイが思わず手を離しても、水晶はたちまち割れ、中から1人の男性が流れ落ちて来た。
水晶は水滴に変わり、床をたちまち濡らした。
中から出て来た男性も濡れている。
男性はピクリともしない。
手を伸ばして髪に触れてみると、男性はゲホッと咳をした。
「ゲホッ、カハッ! 一体、なっ……」
男性は盛大に咳をして、口に入った水を吐き出した後、呆然と佇む柏木を見た。
男性は立ち上がって、問い掛ける。
「俺を目覚めさせたのはお前か?」
「えっ? えっと……」
「さっさと答えろ!」
男性は怒鳴りながら、懐からやけに白い杖を取り出した。
杖を突きつけられて、レイは恐怖から答える。
「はい、私です!」