賢者の石
□第2章
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「スネイプ先生、待って下さい、ちょっと!」
レイの必至の呼び掛けにも構わず、スネイプは早足で歩いて行く。
とうとう追い付けずレイは、ゼイゼイと息を吐く。
次に顔を上げた時には……。
「う、嘘でしょ」
スネイプはいなかった。
というか人っ子ひとりもいない。
ここのスネイプ先生、冷た過ぎないか?
普通、夢小説ならちゃんと付いて来れているか、さりげなく振り返って待っててくれるものなんじゃないの?
そう、不器用な優しさとか持っているとかそういうやつだ。
だがあれは……。
「あれって、ほとんどイメージみたいなものだもんね……。リリーに優しかったんだから、夢主にも優しいはずっていう」
俳優の性格も入れているわけでもあるが。
常識的に考えて、例のあの人がいなくなってその最中、何処とも知れない人物がホグワーツにやって来たら、優しさを向けることなんかないだろう。
ハリーを守る様言われて、ダンブルドアに駒として扱われて、おまけに見知らぬ私の面倒を見ろとか言われたら冷たくされて当然だ。
これこそが現実のスネイプによる、正しい扱われ方なのかも知れない。
スネイプが優しさを向けるのは、あくまでリリーだけだろう。
夢小説の中のスネイプは、俳優の性格も入っているから優しいし、不器用な面も見せるのだ。
「ここのスネイプ先生は、原作を徹底してるって訳ですか……」
レイは独りごちて、スネイプを探すべく歩き出した。