夢物語
□坂ノ上駄菓子屋事件 (乱歩少年)
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ねえあんた親いないんでしょって。
そんなどうでもいいことが、どうやら13歳のわたしたちにはとっても大きくて大事なことらしい。
「なんか言えば?」
「きもいんだけど。」
あびせられる、きたない言葉。
だまってたらどつかれた。
グラウンドのかたすみ、うすい砂の地面の上にこける。
おばあちゃんが買ってくれたあたらしい制服が白っぽくくすんだ。
「まあいいや、ちょっとさあおねがいがあるんだけど。」
生きるとか生き抜くとか、どうでもよくってわたしはそんな時でもしりもちついたまま空を見た。
青くってきれいで、まっしろな雲がふかふかういてて。
わたしもあっちにいきたいなあって、思ったんだよ。
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