忍びとの恋
□好きor嫌い
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―数刻前−
私は雪さんに抱えられてある小屋へと連れていかれた
「あの雪さん」
「突然攫ってごめんね」
「でも、どうして急に」
「ふふ、それはね」
そういう雪さんの懐から出したのは普通の瓶だった
「これは?」
「飲んでみたらわかるわ。さ凛ちゃん」
「え」
訳もわからぬまま飲まされ、そのまま私の意識は遠のいた
(・・・)
"嫌いです"
突然そんなことを言われた俺はその場にただ立っていた
恐らく凛を攫った時に雪が飲ませたものだろう。だが、薬のせいとはいえそう言われると今まで受けた過酷な任務よりも相当な痛みを伴ってしまう
何より一番驚いている彼女は自分が言ってることと反対のことを言って待ったことに戸惑っている
「才蔵さ・・・、違うんです・・・私そんなことをいうつもり・・・」
するとその場から逃げるように凛は走り去っていった
その場には俺一人となった
(やれやれ)
雪の調合した薬は強力で恐らく今日1日はあのままだろう
もちろん夕餉の時間もあの出来事で気まずいのか俺に一切顔を合わすことなく終えた