忍びとの恋

□小さくても
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「・・・」

私は鏡の前で立ちすくんでいた

そう
私は子供になっていた

(どうして子供に・・・)






ー遡ること数刻前ー




「不思議な飴玉・・・ですか」
「そうだよ、ほら」

城下町へと買い出しに出た帰り道
自分より2、3上の男性が話しかけてきてそう言ってきた

どこも変わらない普通の飴玉を私に見せている

(どこが違うんだろう・・・)
「お嬢ちゃん、可愛いからあげるよ」
「いえ・・・、私は・・・」
「ホラ、遠慮なんかせずに、なっ!!」
「ぁ・・・」

男性は半ば強引に私の手に飴玉を渡してきた

ただ立ちすくんでいる私に

「安心しな、その飴にゃぁ毒は入ってねぇからな」

といい去っていった

(・・・どうしよう)



飴玉を持ったまま部屋に戻った私は

(もし、才蔵さんにバレたら・・・)

”見知らぬ輩には絶対に関わるな"

そう才蔵さんに言われてたのに
知られてしまったら・・・

(考えただけでも・・・)

恐ろしいことが起こりそうでこれ以上考えるのはやめた

(それにしてもーー)

この飴玉は何の変哲も無い普通に美味しそうな飴玉

「あの人は、毒は無いっていってたし大丈夫だよね」

そう納得して、私は飴玉を口の中に入れた

その途端

「っ!!」
(か、体が熱いっ!!)

私の意識はそこで途切れた
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