忍びとの恋

□小さくても2
2ページ/4ページ

「ここの団子屋いつ来ても美味しいですね」
「そうだね」

才蔵さんと一緒にいる団子屋は、いつも買い出しの帰りに土産用の団子を買っているところだ

そのため、ここの店主とは顔馴染みになっている

その時、才蔵さんの様子が少しおかしい気がして声をかけた

「才蔵さん?」





(・・・)

先程から妙な気配を感じている

(数は・・・)

「才蔵さん?」
「・・・っ」
「どうしたんですか?先程からボーッとしてますけど」

俺の様子がおかしかったのか凛は、聞いてきた

「なんでもないよ
ちょいとそこで待ってな」
「え、才蔵さん?」

彼女に一言そう告げると、先程気配があった場所に移動した



「おい、例の飴を食べた女ってのはアレか?」
「ああ、なにせ素が良いんだ
子供になったらそりゃ取り合いになるだろうよ」

ハハハ、と笑い声がする男達から少し離れた所に俺は立っていた

(成る程ね)

恐らく、あの2人の男のうちどちらが、彼女に飴玉をあげた奴だろう

俺は気付かれぬようにそっと、男達の真後ろに立った

「しかし、先程まで一緒にいた男がいなくなりましたね」
「ああ、攫うんなら今の内だな」

「そうだね」

「にしても、よくその飴玉見つけましたね」
「だろ?
いや〜、なんせ南蛮から来た不思議な飴だっていうんで、試しに俺が食べたら子供になってたんだよ」
「え、じゃあどうやって元に?」
「ふふん、これだよこれ
これも南蛮からなんだけど、これと、あといくつかの材料を混ぜて飲ませたら戻るんだとよ」

「へ〜、ありがとね」

「っ!?」

ここで、俺に気付いたのか、男2人が振り向いた

「な、何だお前はっ!!?」
「お前っ、そいつは」

俺が手に持っている透明な袋に入っている粉は、先程話していたものだった

「清広」
「はっ」
「よろしく」
「御意」

後のことは清広に任せ、俺は彼女の待つ団子屋へと足を運んだのだった
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ