月の雫
□試験開始!
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ゴン、クラピカ、レオリオと別れてから少しして。
リンはザハン市内のとある定食屋の地下へ向かうエレベータの中にいた。
もともと情報屋のつながりで依頼したナビゲーターに連れられてきた定食屋で、『弱火でじっくり』な焼肉定食をいただきながら到着を待っていると、ついにエレベーターが止まった。
両手を合わせて「ごちそうさまでした!」と心の中でつぶやき扉の前に行くと、それはゆっくりと開く。
(・・・・うわあ。)
そこは湿気のこもったような匂いが充満する地下空間だった。
すでに到着している受験者らしい者たちが数十人はいるだろうか。
ガタイのいい男たちの中で、リンの存在はまさに異質。
(む、むさ・・・!)
と、協会の関係者らしい空まめみたいな人が近づいてくる。
「ハンター試験受験者ですね?これがあなたのナンバープレートです。無くさないように保管をお願いします」
と言って101の数字の書かれた丸いプレートを渡された。
「ありがとうございます。・・これは私で101番目ってこと?」
「そういうことです」
「そう・・・」
(てっきりもっと早いかと思っていたけれど。念は使えなくても意外と手強いのかも)
辺りを見回すが、あの3人の姿はまだない。
どうやら一番乗りはやはりリンのようだ。
(みんなどこにいるんだろう・・生きてるかな?)
壁にもたれかかって一息ついたところで、視線を感じるリン。
それもとてもぞわぞわする嫌な感じの。そしてリンはその気配を知っている。
(・・・・・まさか)
ため息交じりでそっとその方向に顔を向けると・・・
「・・・ククク◆」
そこにいたのは予想通りの変態奇術師だった。
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