Guardian of the First

□planet.3
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『プリンセス…!プリンセス・フレア…!!』








『何をしておる…。私に…構うな…』





『いやぁッ!死なないで…!私には、あなたが…』



プリンセス・フレアの体を抱き抱えて、涙ながらにそう言う例の召し使いの女。

しかし、プリンセス・フレアは召し使いの首を、地面に転がっていたガラスの破片で切り裂いた。


『な…にを…』


『許せ…。お前を殺した、無力な私を…』


プリンセス・フレアはガラスの破片を手から離すと、そのまま息絶えた。



『なぜ…死なないと幸せに…なれないのですか?私は…幸せなのに…。でも、あなたと心中するなら…私は……それで…』



城は崩壊し、やがて太陽の王国も滅亡した。

王国に住む者たちの亡骸が宙に舞い、太陽フレアがそれを覆いつくすその光景は、王国の者を守ろうとしているようにも見えると同時に、あの世に葬り去ろうとする。


そのビジョンが私の脳裏に流れると、寝ている間に目尻から涙が出てきていた。

今までそんなに泣いたことがないのに、いつのまにか泣いていた。


「悪いな…」


『………花子。あなたは、戦士にならなければならないんですよ。』
















































次の日






私は屋上で男友達と弁当を一緒に食べながら雑談する。


しかし、私はいつものテンションに戻れなかった。



「どーした、山田ー!元気ないぞぉ〜?」



「そんなことねぇよ!」


「乙女の悩みってやつか?」


「女扱いしてんじゃねぇ!」


私は牛乳パックを握ってストローを男子に向けて、牛乳を噴出させる。


「あっ!何しやがるんだよ!オレが牛乳嫌いなの知っててやったな?!」


「私は女の悩みなんかしねぇんだよ!お前こそ知ってて言うな!」


そうだ。

私はそんなんで悩まない。


私が悩んでいるのは、そんなロマンチックなものではない。


こんな悩み、誰にも言えるはずがない。






前世の記憶が、これで全部戻ったようだった。

それでも、今日もペンダントは置いてきた。


まだ、信じたくなかった。


手にすれば、私は重いものを背負わなければならなくなってしまう…


「あ!花子ちゃーん!」


「…月野。」


「今日さぁ、みんなでクラウンのカフェ行くんだけど…」


「断る。」


私は月野の話を最後まで聞かずに断ち切った。

どうせ、敵の話とか、そんなことなんだろうと思った。


そんな手に乗るかよ。


「…そっか。花子ちゃん、忙しいもんね!」


「分かったら行けよ。」


私は冷たくそう言うと、ショボンとした顔で屋上から消えた。


(少し、言い過ぎたか…?)


「あんな言い方して良いのかよ?」


「お前らしく無いぞ。」


「…別に。私は、女とは付き合わない主義だから…」


月野たちとは、もう関わりたく無い。

前世がなんだよ…


そんな運命、私には背負えない!!










私は放課後、1人でブラブラと近くの公園に寄り道した。


小学生ぶりだな。

良くここで、缶蹴りとか、かくれんぼとか…


アイツと、よく遊んだな。









『やーい!泣き虫ヤロー!』




『ブランコで遊びたかったら、土下座しろよ〜!』



『ブランコは…みんなのものだろ?!』


『あ?!おれたちに刃向かうのかよ!』


この公園にいつものように遊びに来た時だった。

昔から正義感の強く、男勝りの私には黙ってはいられなかった。


『お前ら、何してんだよ。』


『うわっ…!アザブの山田だ!逃げろっ!』


いじめっ子たちはそう言って細い木の枝を振り回しながら尻尾を巻いて逃げていった。


『何がアザブの山田だよ。オイ、そこのお前。ケガ、してないか?』


『うん…』


『バーカ。男のクセに泣いてんじゃねぇよ。情けねぇ。』


私はそう言いつつも、笑顔で手を貸した。

しかし、当時の私は結構有名で、何か悪さが起きると必ず私のせいにされた。


本当はそんな悪さしないのに、いつの日か、そう言うことになっていた。


『あ、あのさ…。オレのこと、知らない?』


『…?どっかで会ったか?』


『オレ、君と同じクラスメイトなんだけど…』


知らね〜。

でも、そんなの言えないし。


『あ…あぁ!お前ね、はいはい。』


『そう。田中。』


ごまかせたかな。

しかし、私が覚えてないなんて、相当影の薄いヤツだな…


『山田さんだよね。さっきはありがとう。噂通りなんだね。』


『か、勘違いすんなよ?!私は別に、そんなんじゃ…』


『うん。今分かった。悪いことしない人だって。』


なんだよ、こいつ…

調子狂っちまう。


そんなヤツだった。


それから、私と田中は仲を深めていった。

中学までは一緒だったけど、それからはもう会っていないし、連絡もとっていない。


「元気ににしてるかな…。田中のやつ。」


「元気にしてるよ。」


……………?




「久しぶり」




「田中!どうしてここに…」


「なんとなくかな。花子ちゃんに会いたくって…」


田中は、私の座っていたベンチの横に座った。

私は微動だにせず、真正面を見つめる。


「どお?最近。彼氏とかできたの?」


「愚問だな。できるわけないだろ?」


「あははは!そーだね!」


なんかこいつに言われるとムカつく。


「お前こそ、彼女の1人や2人出来たのか?」


「オレは出来ないかな。告白はいっぱい受けたけど…」


「ほーう。やるじゃねぇか。」


「で、でも断ってるし!オレ、好きな人が居るから…」


アホくさ。

コッチはそれどころじゃねぇってのに。


そんな光景を木陰から見ている人影があった。


「もしかして…」
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