Guardian of the First
□planet.3
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「どういうことですか?セーラーサン。」
私の投げやりな言葉に反応するセーラープルート。
「今日限りだって言ってんだよ。正義の味方ゴッコは。」
「私たちはお遊びでやってるわけじゃないわ!」
「そうよ、失礼よ!」
ヴィーナスとマーズが私に刃向かう。
私は耳を塞ぎたくなった。
女子の声は耳に刺す痛さだ。
「じゃあ、お遊び気分でやってる私と一緒に戦いたいか?」
「そうじゃないわ。仲間なら、私たちと一緒に戦いましょ?同じセーラー戦士でしょ?」
セーラームーンが微笑みながら言う。
だが、私は足元にあるペンダントを踏んで割った。
「こういうこと。私は戦士にならない。やりたきゃお前らだけでやれよ。今までの敵が出てきたんなら、お前らに倒せるだろ。」
私がそう言うと、私の意識に潜在するプリンセスが突っ込んできた。
『なんて言い草ですか!彼女たちと一緒に戦いなさい!ペンダントは、あなたが壊そうが捨てようが、あなたのところに来ます。戦士になる術しかないんです!』
「でも、使わなきゃ良いんだろ?敵が現れても私の拳でねじ伏せてやる。」
私は壊されたペンダントをそのままにして宝石店を去った。
セーラー戦士の間に重い空気が垂れ込む。
「セーラームーン。本当にアイツを仲間に入れるのか?」
ウラヌスが半信半疑で聞く。
それもそうだ。
外部太陽系戦士からしてみればそう言う反応になってしまう。
「だって、あのギャラクシアより強くて、私たちよりずっと前からいた太古の戦士…。そんな戦士、ほっとけないよ。」
「まぁ、そう言うのもわかるけど…」
ジュピターはそう言うが、ヴィーナスとマーズはプンプンだった。
「私は信じる!」
「ちびムーン…」
「だって、セーラーサンは優しいもん。友達だから、信じる!」
ちびムーンがそう言うとみんな頷いた。
その頃、私は制服のままベッドに横たわって電気も点けずに天井を見る。
『戦士にならないのですか?』
「ったりめーだ!誰がやるかっての。」
『自分だけだと思っていませんか?』
プリンセスが意味深なことを言うから黙る。
『自分だけが、運命背負ってると思っていませんか?違いますよ。あそこにいる戦士はみんな、運命を背負ってるんです。』
「そんなんじゃねぇ…」
『じゃあ、普通の女の子で居たいというワガママですか?』
「ふん。普通の女の子だと?私のどこが普通の女の子だよ。私は、この日常が日常じゃなくなるのが嫌なだけだよ。」
私はベッドに寝ながらスカートと上のセーラー服を脱いで下着姿になったまま布団の中に入る。
『風邪、ひきますよ?』
「うるせぇ。もう寝るんだよ。」
そういって目を閉じた瞬間、何かが頭の中に過った。
嫌な感じがした。
『どうかしましたか?』
「…なんだ、今の。」
私はしばらく目を開いたまま固まる。
月の王国が、ダークキングダムによって滅ぼされていく様を、プリンセス・フレアが城の中から見ていた。
ここ、太陽の王国に戦士たちの通信が途絶えることはなかった。
『プリンセス・フレア!あなたのお力添えが必要です!』
『何とかして、プリンセス・セレニティをお救いしてください!私たちの力では及びません!』
「…狼狽えるでない。私も、月の王国の者たちの後を追うことになるだろう。お前たち戦士も。確かに、私の力であればあの程度のもの食い止められるが、それはしてはいけない。」
『どういう意味ですか?』
『訳を説明してください!』
プリンセス・フレアは立ち上がって、天の川を見た。
「セーラー戦士たちよ。今窮地にたたされていようが、来世は必ず幸せになれると、私が心に誓おう。もしなれなかったら…。私も戦士として目覚め、時が来たら死をもって償おう。」
『そんな…ムチャな!』
「幸せになるがよい。」
グサッ!!