Guardian of the First

□planet.4
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「私は…お前を死なせない。」










「…どういうことだよ?」




田中が私の顔をジーっとみる。



「…話は後だ。敵が来るぞ。」



そう言うと、窓ガラスを破って部屋に敵が入って来た。


「なんだよ、お前!」


「あやかしの四姉妹の四女、コーアン。ラビットがこの近くにいることは分かっている。大人しく引き渡せ!」


私は動じることなくコーアンを冷たい視線で見つめる。


「ラビットって、クリスタル・トーキョーのネオ・クイーン・セレニティのご息女…ってところか?」


「な、なぜそれを…!」


すると、私は田中の手を取って、割れた窓ガラスから飛び出した。


「ちょっと…!!ここ2階だってば!!」


「ばーか!今さっきいったばっかだろーが!お前を死なせねぇって!」


私はセーラーサンに変身して着地すると、コーアンを引き付けた。


「セーラー戦士?!いいんだろう。ラビットの前に、お前を片してやる!!」


「後ろから来てるよ?」


「うるさい!分かっている!!少し黙ってろ!」


私は男を抱えながら塀を軽々と飛び越えていく。

しかし、後ろからコーアンもついてくる。


「いいか?私が「せーの」と言ったらお前を離す。この先にある曲がり角でお前は右を曲がれ。」


「で?花子ちゃんは左にいくの?」


「ついてくんなよ?行くぞ。せーの!」


私が離すと、田中を放した。

田中は迷わず右を曲がった。


(信じてるよ。お前が帰ってくるの。)


怖じ気づいて私の言う通りにしたわけではなく、信頼してそれに従った。


「セーラー戦士!覚悟!!ダルク・ファイヤー!!」


「そんな炎が通用するかよっ!!」


私は右手からダルク・ファイヤーよりも数倍の炎を吐き出してその場を火の海にした。


「あつっ!あつっ!!」


「とどめだ!」


そういって拳を振り上げようとすると、頭に激しい痛みを生じた。

頭痛とはまた違う、割れそうな痛さ。


「なんだよ、こんなときに…!」


『まだ気づいていないのですか。』



「またテメェか!虫みてぇに邪魔なときにだけしゃしゃりでてきやがって…!」


すると、その間にコーアンは逃げていってしまった。


「テメェのせいであの女を逃がしちまったじゃねーかよ!」


『私は、片時も私の愛する者を忘れたことはないです。…彼を戦いの側に置きなさい。』


「意味わかんねーよ!アイツを護るのが私の使命!なんでアイツをわざわざ危ないことに巻き込まねぇとなんねーんだよ!!」


端から見ると、一人で自問自答しているかのような異様な光景。

その怒鳴り散らす声に近所の住民が窓を開けて続々と見てくるから、私は颯爽とその場から立ち去った。


戦士から普通の自分に戻りながら歩く。


『彼があなたを必要としているように、あなたにも彼が必要なのです。それに気づいてください。』


「気づいてくださいって、そういう問題じゃ…」


すると、ポケットに入っていたケータイがブルブルと震える。

手にとって耳に当てる。


「なんだよ。」


『なんだよ。じゃないよ〜!何回もかけたんだから!』


「わかったから。今お前んちに戻ってるから、早く来いよ。」


私はそう吐き捨てて通話を切って、田中の家に戻った。

頭にまだプリンセスの声が残るが、私は無視していく。


「花子ちゃん!大丈夫だった?ケガは?」


「見てわかんねーのかよ。」


そう言うと、田中が私の体を強く抱き寄せた。

息の止まりそうな強さに、私は払い除けることもできなかった。



「ちょっと…」



「良かった…。オレ、やっぱり…お前の側にいたい…」



「意味わかんねーよ!は、恥ずかしいから離れろよ!」


私は田中の背中の服を引っ張るが、中々はなそうとしなかった。


「離れたくない。オレ…お前の側にずっといたいから…。」


「…………………。」
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