オリ小説

□花火のように散りゆく思い
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「火花のように散りゆく想い」

「もう花火なんて見ることないよ」
彼女は自分の死を確信したような面持ちで
その言葉を放つ。
もう、俺はそんな言葉を言わせなくない。
だから…


白い光景に囲まれた廊下を俺は
かけていき、目的の部屋までつく。
「瑠奈!大丈夫!?」
『お兄ちゃんー!そんな心配しなくていいよ
 うちがまたドジしただけだから(笑)』
俺は、四ノ宮光。今、部活で足を怪我して
母が務める病院に入院した。
「いつには退院できそうなんだ?」
『一週間ぐらいだって!』
「良かった…あっ、じゃあたま来るな?
 受験勉強があるから!」
今、高3の俺は来年大学生となる。
そのための受験勉強を頑張らなくてはいけない。市内の有名大学に入るつもりだからだ。
そう言い残した俺は、廊下に戻ろうとした時だった。
すると、
「うわぁ!?」
『痛っ』
「大丈夫!?」
とても可愛らしい女の子がいた。
俺より2歳下ぐらいだろうか。
『はい。こちらこそすいません(汗)』
彼女は、俺に謝った。
「俺こそ、ごめんね?君はここに入院してるの?」
『はい…。ガンなんです。まだ、初期の段階なので、治る可能性はあるのですが』
「っ…ごめんね?変なこと聞いて」
『いえ(汗)気にしないでください。あなたは…お見舞いですかね?』
部屋のネームプレートを見て、彼女は答える。
これが彼女との出会いだった。
それから、妹が退院するまでの一週間、
俺は彼女の病室へ出かけることが習慣になっていた。
ただ、妹が退院すると、彼女と合うことは
無くなった。 
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