マーブル《シーズン3》

□キイテナイヨ?
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終始俯いていたけれど怖い夢を見た後だから、と変に思われることはなかった。



けれどその後、入院中に何度か視線を感じて安室さんに縋り付いたのは一度や二度はなかった。



私はすっかり怖くなって安室さんから離れられなくなっていた。検査に行く時も、中庭に行く時も、病室にいる時だって安室さんはすぐ近くにいて、無意識に安室さんの服を掴んでいる。



このままではダメだと思っても、恐怖心には勝てなかった。



「ごめんなさい。」
「なんで謝るんですか?」
「迷惑ばかりかけてしまっているから。」
「迷惑だと思っていたら、ここにはいませんよ。だからそんな心配無用です。」



私が本当に記憶がなかったら素直にその言葉を受け入れられたのだろうか。嘘をつく、と言うことは想像以上に心身ともに疲れることなのだと思い知らされた。



けれど、私はまだフリを続ける。あの夢を正夢にしたいためにも、ストーリーはこのまま進行しなくてはならない。



そして、入院中は安室さん依存症になりかけた私でしたが、ようやく退院と漕ぎ着けました!犯人のいる病院から脱出できれば、ストレスが少しはマシになるだろうか?



………ならなかった。



退院後は安室さんと一緒に住むんだって!?キイテナイヨ??



「あ、あの。私たち、一緒に住んでいたんですか?」



あくまで記憶喪失のフリで口にした疑問だったけど、不自然じゃなかったかな?



「いえ、なまえさんが泊まりにきたことはありましたが、一緒には住んでませんでしたよ。」
「なら、どうして?」
「犯人に狙われるかもしれないとわかっていて、一人暮らしの家に帰すわけにはいかなかったので、一緒に暮らせば危険もなくなると思ったんです。それに、僕の住んでるマンション、セキュリティ万全ですから。」



にっこり笑ってる安室さんだけど、私は泊まりにきたことはありませんよ?連行と強制はありましたけど。決して、自ら、泊まりにきたことは、ありませんからね?



セキュリティ万全なのは認めるけどね!!
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