マーブル《シーズン3》

□ヒステリー
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怒りを鎮めたまえ〜!へへ〜!と、さっきからペコペコと頭を下げております。心の中で!!



「さっきも言いましたが、僕は怒っていませんよ?なまえには。」



いや、その空気が怖いんです。安室さんから醸し出される空気が、沖矢さんに向かっているはずなのに、沖矢さんはどこ吹く風で、さらっと流してこっちに向かってるんです。二次災害です。避難所はどこですか?



「で?記憶はいつから戻っていたんですか?」
「子供達に会った時に戻りました。」
「意外と早かったんですね。何故教えてくれなかったんですか?今となっては犯人が近くにいるのは怖かったんじゃないんですか?」
「もちろん怖かったですよ。安室さんがいなきゃ私は今頃どうなっていたか。そばにいてくれてありがとうございました。」
「どういたしまして。でも、事件に巻き込んだ原因は僕にもありますから、気にしないで下さい。」



やっぱりそんな風に考えていた。安室さんのせいじゃないのに。責任感が強いのにもほどがある。タダでさえトリプルフェイスで心身ともに大変だというのに。なんで私に構うんだろう?



『あなたのことが好きだからです。他の誰にも奪われたくないと思うほどに。』



「ぎゃぁぁぁああ!」
「!?」
「な!ど、とうしたんですか!?」
「いえ!なななんでもありません!」



思い出し笑いならぬ、思い出し叫びをしてしまった。安室さんに新一のセリフを奪われたのは落胆しかない。どうしよう。これで新一と蘭ちゃんの関係にヒビでも入ったら目も当てられない。



コナンの姿の告白はノーカンだと思いたい。



「記憶をなくしたふりをして、犯人のそばにいたのは何か理由でもあったんですか?」
「理由なんて簡単です。入院中は記憶がない方が殺される可能性が低いと思ったからです。」
「犯人は誰を犠牲にしてでも貴女を殺す気でした。それは貴女もわかっていたはずです。どうして僕から離れたんですか?何故………あの男を頼ったんですか?」



苛立ちを隠しきれていない安室さんはマジで怖い。赤井さんを頼ったことを根に持ってのかな?



だって接近戦より遠距離戦が可能な赤井さんなら、誰も怪我させることなく制圧してくれると思ったんだもん。私が一人で犯人をあの場所まで連れていければ。
トロピカルランドで子供達に会ったのは誤算だった。すぐに離れたからみんなは無事だったけど、下手したら誰かが怪我をしていたかもしれない。



逃げている時、左腕を掠った銃弾は本当に痛かった。焼けるような痛みに泣きたくなった。死にたくないと思った。その時、私は間違ってないと確信した。



誰にも怪我なんてして欲しくなかった。目の前で、安室さんが傷つく姿を見たくなかった。だから、怖かったし痛かったし辛かったけど、一人で行ったんだもん。遠距離で犯人を制圧できる赤井さんを頼ったんだもん。私にできることは“逃げること”だったんだもん。
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