短編

□幸せの裏側
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「なぁ、イルミネーションって見たら楽しいもんなのか?」

事の発端は、萩原研二のこの一言だった。

「楽しいかどうかは人それぞれだろ。でも街が綺麗に配電されているのは防犯面でもいいんじゃないのか?」
「配電って…。」
「人が集まればスリや喧嘩など起こりやすくなりますよ。」

上から、伊達、松田、降谷の会話だ。警察学校の同期がたまたま顔を合わせて、たまたま暇だったので飲みに行き…話すことといえば、イルミネーションの感動よりも犯罪率の方が気になった。ということだった。

「俺はクリスマスは彼女と過ごすけど、お前らなんか予定あんのか?」

彼女持ちの伊達がここにいる全員の感情を逆撫でした。

「仕事だよ。」
「俺も、待機命令出てる。」
「俺も。」

特殊機動隊所属の松田と萩原はいつ何が起きても出動できるように待機命令。そして降谷は、潜入していた組織が壊滅し、残党狩りや潜入期間の報告書の作成など、なんだかんだ忙しかったりする。

「じゃ、これから見に行かね!?」

「「「はぁ!?」」」

何が悲しくてクリスマスイブの前日に男4人でイルミネーションを見にいかなきゃならないのか。周りはカップルだらけだろう。余計に悲しくなりそうだ。

「俺は遠慮する。」
「俺も。」

松田と降谷は否定組、対して伊達は萩原の言葉に乗ってしまった。

「面白そうじゃねーか。行こうぜ!」

何が面白そうなんだ?否定組二人の心の声が重なった。
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