短編

□成人式2017
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「振袖、とてもよく似合っています。」
「ほー、その色は自分で選んだんですか?とてもよく似合う。」
「メイクもいつもと違って大人っぽくてセクシーですね。」
「ヘアメイクも!髪を上げているのは初めて見ます。うなじが綺麗ですね。」
「でも、着付けって大変だったんじゃないですか?足元も、普段と違うので気をつけてくださいね。ほら、言ってるそばから。手を貸すのでユックリ歩いてください。」
「片手だけでは心許ないでしょう?僕の手も掴んでください。」
「それは僕が頼りないってことですか?」
「いえいえ、お一人に頼るのではナマエさんが恐縮に思ってしまうかもしれないので、僕の手もお貸しします。と言うことですよ。他意はありません。」



もう、本当に、やめてほしい。なんで成人式に男を二人も侍らせて参加しなきゃいけないんだ?って言うか、なんで待ち伏せしてんの??



最初こそはとても褒めてくれた。こっちが恥ずかしくなるまで、褒めちぎってくれた。でも、今は安室さんと沖矢さんが牽制しあっていて頭上で火花が散っている。



頼むから、成人式で問題起こさないで!!って言うか、安室さんも沖矢さんもとっくに成人してんだから成人式には出席できないよね?なんで着いてくんの??会場前で悪目立ちすぎるんだけど!?



「ナマエが綺麗だから心配なんです。成人式に浮かれて、何処の馬の骨とも知れない男がナマエにちょっかいかけてくるかと想像しただけで居ても立っても居られないんです。」
「そんなの妄想じゃないですか!?」
「妄想じゃないですよ?現に、今もこうやってナマエのそばで離れようとしない狼がいるじゃないですか?」
「それは安室さんと沖矢さんのことですよね?」



両手に華じゃなくて両手に番犬…いや、番狼か?本当にもう、帰ってください。何が悲しくて成人式に保護者連れで参加しなきゃなんないのさ!



『後10分で式典が始まります。成人を迎える方は会場内の空いてる席にお座りください。』



会場内の誘導係さんの知らせによって私は会場内に進もうとする。当然彼らも着いて来ようとするが…。



「お連れ様は会場の外でお待ちください。会場内の座席には限りがありますので、ご了承下さい。」



誘導係さん。この二人相手に勇者か!?ここは通さないぜ!的なセリフをこの二人に面と向かって言えるなんて!!惚れそうだよ!!



「僕は今年成人式を迎えるものですが?」
「僕もです。」



おいぃぃぃ!!何シレッと嘘ついてんの!?

いくらベビーフェイスだからって自分で言ってちゃかなしくないか!安室さんんん!?

変装してても体から溢れるフェロモンは隠せてないから!沖矢さんんん!?



二人とも無理があるから!!



「そ、そうなんですか?では、会場内お静かにお願いします。」



おいおいおい!?通っちゃうの!?OKなの!?無理じゃないの!?!?



「僕を誰だと思ってるんですか?潜入なら得意分野ですよ。」
「日本の成人式は初めて参加するので楽しみですね。」



ダメだ!コレはダメなやつだ!誰かこの二人をどこかに連れて行って!?



『これより平成29年、成人式を始めます。』



始まっちゃったー!!!



私の成人式は、過保護な保護者が両脇を固めて、私よりも楽しんでいたのが印象的なものになりました。



今夜は飲んでやるー!!!!
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