月の王子様

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やってしまった。言うつもりなんてなかったのに。萩原さんポカンとしてるし。怒鳴られながら言われたって嬉しくないよね。そもそも、私から告白されたって迷惑だよね。



「………フッ、ハハッ。参ったな。」
「ごめんなさい。忘れてください。」
「なんで?」
「迷惑でしたよね?」
「まさか!嬉しいよ!今なら補助具なしでも歩けそうな気がする。」
「いや、それはないです。無理しないでください。」
「無理なんてしてないよ。いや、無理してでも歩きたいと思ってる。、今無性に名前ちゃんを抱きしめたいんだ。」



車椅子の手すりにグッと力を入れた萩原さん。まさか、本気!?



私は萩原さんに駆け寄ってギュッと抱きしめた。



「わ、私だって、萩原さんを抱きしめたいって、ずっと思っていました。」



だから、無理はしないで。



「ありがとう。」



萩原さんに抱きしめ返してもらい、私は涙が出てきそうになって慌てた。でも、萩原さんは私を離してくれなくて戸惑うばかりだ。



「あ、あの。」
「うん?」
「離して、もらいたい…んですけど。」
「ダーメ。だって俺、まだ名前ちゃんに返事してないもん。」



聞きたいような聞きたくないような。でも、ここで聞かなかったらこの先ずっとモヤモヤしてしまう。言うつもりなかったから聞く覚悟もまだないんですけど。このままは困る。



「俺、初めて会った時から名前ちゃんのことが好きだったんだ。」
「………え!?は、初めて会った時!?」



何年前の話だ!?驚きすぎて涙が引っ込んだ。私は最近、ようやく、萩原さんにが好きなんだと気がついたのに?



「驚きすぎだよ。」
「いや、普通に驚きますって!」



ん?あれ?それじゃ、私たちって……両思いってこと?
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